中小企業が採用で成功する秘訣とは

伊藤:最近ではスタートアップを中心に、優秀な学生をインターンで受け入れて、そのまま採用するケースが増えています。スタートアップやベンチャーだと人が集まるのに、中小企業という名前になるとインターン生が来ないのはなぜか。それは、会社側のマインドの部分が大きいのではないでしょうか。採用活動は、本当は1年間かけた方がいいんですよね。数日や数カ月ではなく、長期間にわたりインターンで実際に仕事をしてもらって、自分たちのことを好きになってもらうという考え方も必要になります。

「日経トップリーダー」 発行人
伊藤 暢人
1990年に日経BPに入社し、「日経ビジネス」副編集長、ロンドン特派員、日経トップリーダー編集長、日経BP総研 中堅・中小企業経営センター長 などを経て2019年4月から現職。企業経営に詳しく、 講演、テレビ・ラジオ出演など多数。

村尾:これからますますインターン経験者の就職は増えていくでしょう。そうすると、企業にとっては、いかに魅力あるインターンシッププログラムを提供するかがポイントになります。

 大企業はネームバリューで人がとれて、スタートアップはカッコよさで人が採れている。その中間の中小企業が一番採用に苦しむことになります。

伊藤:団塊の世代と今とでは、一学年の人口が全く違います。そもそもの人数が減っているなかで、最近の若者はスタートアップやNPOにも関心を示す。これは、本気で採用活動をしないと、中小企業には厳しい時代と言えるでしょう。

 自社のビジネスに関しては、お客様に本気で魅力をアピールするのに、こと採用活動になると、学生に魅力を伝えられない会社が多いのはもったいないですね。

村尾:確かに、世界で事業展開していたり、営業活動がすごく得意だったりする中小企業はたくさんあります。だから、商品やサービスの魅力をお客様に伝えるように、採用は学生に会社の魅力を伝える営業活動なのだと視点を変えるといいかもしれないですね。

伊藤:もう一つのポイントは、いかに自分の会社に合った人を採用するかですね。

 私が講義していた大学で、福島市に本社を置き地域にLPガスなどを供給しているアポロガスの篠木雄司会長(当時は社長)に講演をしていただいたことがあります。アポロガスは入社後に100以上の研修プログラムを用意しているんです。

 講演のあとに学生たちに聞いたら、「研修が多くて成長できそう」という意見と、「そんなに研修が多いと息がつまりそう」という意見に分かれました。アポロガスは、息がつまると考える学生は採用してはダメなんです。研修があってうれしいと考える学生を採用すれば、会社も学生もハッピーになります。

 まずはしっかり自社の魅力を打ち出さなければなりません。単なるLPガス業者だというと、ガス業界ばかりを受けている学生が応募してきますが、研修の充実度を打ち出すことで、成長意欲の高い学生が集まります。