新しいテックソリューションは元気のいい部署から導入する

岩波:多くの会社や社員は、ルールがあることに慣れてしまっているので、ルールに重心を置いて考えるようになっているのかもしれません。ルールは大切ですが、ルール以上に本当に大切なことが分かっていないと、共創は起きないと思います。ところで、本日は共創に付随するテーマとしてHRテックを掲げましたが、メルカリさんではいろいろなHRテックに取り組んでいるのではないでしょうか。

石黒:費用対効果の点で疑問となる場合も含めて様々なテックに取り組んできました。何よりも大切なのは、まずは使ってみること。一例としてテックといえるかは別として、リンクトインは当社がグローバル企業を目指した時から、やらなければならないものとしてずっと続けてきました。最初は200人程度だった当社のフォロワーが、今では1万7000人に増えています。使ってもいないのに文句ばかり言う、即効性を問うてくる、というのでは何も進みません。ただし、効果の薄いことをダラダラやり続けるのもムダなので、半年に1回などの基準を決めて見直すことも必要だと考えています。

 新たなテックを導入するにあたり、効果的な方法があります。それは、ある特定の部署、しかも、社内でとりわけ元気のいい部署に最初に導入することです。全社的に一度に導入するのは、説明するだけでも相当の手間がかかりますし、部署によって成果はバラバラになりがちです。しかし、成績のいい部署なら導入しても成功する確率が高く、社内では「あの部署がやっているのなら、うちもやろう」となって一気に広がります。

EAの推進、個人の解釈の軸づくりが課題

岩波:最後に、お二人が今、一番の課題としていることを紹介してください。

石黒:EA(Expectation Alignment)、すなわち、会社と従業員の期待値を一致させることを大切にしています。従来と同じ分野で業績が上がっている時は従業員の期待や満足度も高いのですが、新しい分野に挑戦する時など、「会社としてあなたに何を期待しているか」と「自分の期待は何か」の方向性が一致していないと、うまく動いていきません。期待の方向が一致しない人を無理に引き留めることもしませんが、期待が合っているのに会社と従業員側のアラインメントが合っていない場合は、期待値を明確にするようにしています。

桜庭:組織のための個ではなく、個のための組織として、一人ひとりが自立的かつ主体的に考えていけるような仕組みをつくっていきたいと考えています。課題や状況に対する解釈の軸は、本人にしかないので、この軸づくりのサポートに取り組んでいくことで、個と組織の志をつなぎたいです。