先進企業のベストプラクティスを学ぶ「先進企業事例研究会」を開催

 日経BP総研マーケティング戦略ラボでは、2014年に「ダイバーシティ&イノベーションフォーラム」を発足させた。女性活躍を第一歩としてダイバーシティマネジメントを推進することが組織にイノベーションを生み出す上で不可欠であり、企業価値向上につながるという思いから始まったこのフォーラムも今年度で5期目を迎える。7月30日には、「先進企業事例研究会」が開催された(東京・お茶の水)。今回はこの模様を報告する。

 先進企業事例研究会では、毎年5月に発表される「女性が活躍する会社BEST100」(日経WOMAN・日経ウーマノミクス・プロジェクト実施)で、上位に入った先進企業の担当者を講師に招いて開催している。今回は、初めて総合ランキング1位に輝いたジョンソン・エンド・ジョンソン法人グループ、ダイバーシティ推進度第1位(総合ランキング13位)の日本生命保険、女性活躍推進度第1位(同21位)の日立製作所の3社が登壇した。各講演の終了後には活発な質疑応答があった。その後は「先進企業から何を学ぶか」をテーマに、グループワークも実施された。
(写真:矢作常明)

J&J――エネルギーマネジメントで社員の力を最大化する

 まず、ジョンソン・エンド・ジョンソン(J&J)メディカルカンパニーコミュニケーション&パブリックアフェアーズ部長の田中美代子氏が登壇し、「ジョンソン・エンド・ジョンソンにおけるダイバーシティとインクルージョン」というタイトルで講演した。

 「当社では、一人ひとりが置かれている状況を踏まえて尊重すること、そして一人ひとりが能力を最大限に発揮することを重視しています。つまり、多様性があるという”“ダイバーシティ”から、その違いを生かして活用するという“インクルージョン”へと進化しているのです」と田中氏。同社の特色はD&I推進のアプローチにある。多くの企業にあるような専任組織はない。1943年に策定された有名な「我が信条(Our Credo)」にすでに全員がD&I推進の担い手との内容が記載されており、自分事として理解されていて、草の根活動が盛んなのだ。社員有志による「WLI(Women’s Leadership Inclusion)」の活動は10年以上続いており、現在のメンバー101人のうち40%が男性だ。

 「ボトムアップのアプローチがD&I推進に効いています」(田中氏)。

講演する田中氏。講演の中に参加者が自分の「アンコンシャスバイアス」に気づく内容も盛り込まれ、会場は大いに盛り上がった

 D&I推進のために、近年は「アンコンシャスバイアス(無意識の偏見)」の取組に注力している。これは、例えば「重要な仕事は男性がするもの」「女性は昇進したがらない」というような無意識の先入観に気づき、理解するというもの。これまでにほぼ全社員が研修を受けている。もうひとつは、「エネルギーマネジメント」である。同社では、社員を「コーポレートアスリート」と呼ぶ。つまり、アスリートと同じようにエネルギーを自ら戦略的に管理してポテンシャルを発揮してもらおうということだ。そのために、全世界で研修を実施しているという。

 「当社では、社員への健康はコストではなく投資と考えています。当社の研究では健康投資1ドルに対し3ドルの投資リターンにつながるという結果も出ています。そのような施策が奏功し、34年間連続最高益更新というビジネスの結果に結びついていると思います」