日立製作所――イノベーション創出のために、個人の多様性も重視する

 最後に登壇したのは、日立製作所人財統括本部人事勤労本部長兼ダイバーシティ推進センタ長の三輪高嶺氏。講演タイトルは「日立グループにおける経営戦略としてのダイバーシティ推進」。

 同社は2000年ころから女性活躍支援をしていたが、09年に社長直轄の専任組織としてダイバーシティ推進センタを設置、12年からはダイバーシティ推進を明確な経営戦略に落とし込み、「ダイバーシティはイノベーションの源泉であり、日立の成長エンジンです」というトップのダイバーシティステートメントも国内外に発信した。

 「グローバルに社会イノベーション事業を拡大し、社会に貢献していくことが日立の目指す方向。そのために求められる人財像が変化したのです」と三輪氏はその背景を語る。以前は、主に日本国内で顧客の要求に基づいて製品やシステムを提供していたため、日本人男性を中心とした同質な集団でもよかったが、今は違う。グローバルな社会・顧客課題のニーズを探し、それを解決するサービスを提供するために、国籍や性別、価値観などが多様で、自律的な集団でなければならない。そのためにグローバルな人財データベースを構築、新たな人財情報システムも導入した。

 ダイバーシティを推進した結果、女性理事も2人誕生、外国人取締役も増えるなどトップマネジメント層が多様化した。また、組織内の女性比率も、女性管理職比率も順調に推移している。

 現在、注力しているのは、働き方改革(日立ワーク・ライフ・イノベーション)だ。育児・介護者のためだけではなく全従業員を対象に、単なる残業削減ではなく、限られた時間を効率的に活用して最大の成果を挙げるための取組と位置付ける。そのために、在宅勤務やサテライトオフィスをはじめとする、いつでもどこでも仕事ができる環境を整備して従業員の活躍を支援している。

 「日立は、組織が多様化する組織ダイバーシティのみならず、個人の内面の価値観の多様化も重視しています。社内で活躍するだけでなく、社外でも積極的に社会との接点を持ったり新たな経験をすることで多様な価値観が備わる。イノベーションを生むためにパーソナルダイバーシティも必要だと認識しています」(三輪氏)。

 一連のダイバーシティ推進が奏功し、経産省と東京証券取引所が選定する「なでしこ銘柄」に2014年から5年連続で選定されていること、また、グループ会社が「ダイバーシティ経営企業100選」に選ばれたり、厚生労働省「えるぼし」認定を受けたりするなど高い外部評価を獲得しているとの成果を伝えて、講演を締めくくった。

「ダイバーシティを進めるにあたり、他の業種と違いメーカーとしての難しさはないか」との質問も。講演の後はグループワークを実施