2018年10月25日、東京・日本橋で「日経BPダイバーシティトップセミナー」が開催された。5回目となる今回は、「イノベーションを生み続ける組織風土改革とは~働き方改革・女性活躍を企業の成長につなげる~」をテーマに、日本のダイバーシティにおける先進企業のトップによる基調講演や中央大学大学院戦略経営研究科(ビジネススクール)教授の佐藤博樹氏による特別講演のほか、人事・ダイバーシティ担当者が語る組織風土改革、パネルディスカッションなど、4時間にわたるプログラムが行われた。この模様を4回にわたってお送りする。初回はNTTデータの代表取締役副社長の柳圭一郎氏の講演。同社は、18年、経済産業省の「100選プライム」にも選定された先進的なダイバーシティ企業である。(取材・文=西尾英子、撮影=竹井俊晴)

初期からTQC(品質管理)向上を推進、自立的に動ける組織を目指す

 基調講演には、NTTデータ代表取締役副社長 執行役員の柳圭一郎氏が登壇し、「Trusted Global Innovatorを目指して ~NTTデータの変遷から見るダイバーシティ経営とは~」をテーマに基調講演を行った。

 85年に電電公社から民営化、88年にNTTからSI・データ通信事業が独立し、NTTデータとして分社化した。当初の課題は、従来のお役所文化・意識を変えることだった。「自立的に動ける組織」を作るために、当時のトップが取り入れたのが「TQC」(品質管理)の手法だった。全員がそれを学び、さらに課題に対し、“対策案を考えさせる”ことを徹底。こうした取り組みにより、「それぞれが問題を正しく把握し、解決へと導くことができるようになり、現場の改善が自発的に進むようになっていった」という。93年には、TQC向上の取り組みが認められ、情報サービス産業として初めてデミング賞を受賞した。

1984年東京大学法学部卒業。同年日本電信電話公社入社。88年NTTデータ通信株式会社(当時)分社以降、06年金融ビジネス事業本部資金証券ビジネスユニット長。09年NTTデータ・ジェトロニクス株式会社 代表取締役社長。12年株式会社NTTデータ 総務部長。13年同執行役員 第二金融事業本部長。16年同取締役常務執行役員 総務部長兼人事部長。18年6月より現職。
(上)講演するNTTデータ代表取締役副社長 執行役員の柳氏。(下)93年、情報サービス業として初のデミング賞を受賞

 次に大きな変革に着手したのは、2005年頃。新たな問題として噴出したのが、PM(プロジェクトマネージャー)を巡る経営上の課題だった。「様々な問題を調整しながらシステムを作り上げていくのがPMの役割だが、技量不足で赤字プロジェクトが発生したり、ベテランから若手へのノウハウ継承がスムーズにいかないといった問題がみられた」という。そこで、PMに関する経営課題を解決すべく、取り組みがスタートした。

 まず、PMの基礎知識修得を義務化し、「社内認定制度」を設定。そして、プロジェクト受注時には、PMの社内資格を確認し、不十分な場合はサポート体制を整えた。

 さらに、2003年からは、PM以外の業種にもキャリア育成の制度を拡大させ、社員一人ひとりの専門性を向上させる「プロフェッショナルCDP」の仕組みを作った。それぞれがプロフェッショナルになることで、所属する組織を越えて互いに刺激し合い、切磋琢磨する環境に。さらに、研修やメンタリングなどを通じ、“プロがプロを育てる”環境が出来上がっていった。それにより、課題であったスキルの伝承などもスムーズにいくようになったという。