2018年10月25日、東京・日本橋で開催された「日経BPダイバーシティトップセミナー」。第2回は、日本マイクロソフト執行役員人事本部長 杉田勝好氏の講演の模様をお送りする。テーマは「マイクロソフトにおける企業カルチャー変革への取り組み」だ。
(取材・文=西尾英子、撮影=竹内俊晴)

CEOのすべきことは企業文化の変革である

 続いて、日本マイクロソフト執行役員で人事本部長の杉田勝好氏が登壇し、「マイクロソフトにおける企業カルチャー変革への取り組み」をテーマに講演を行った。

 約1時間に及ぶ講演の大半を占めたのが、「マイクロソフトにとって最も重要」だというミッションやカルチャーについての説明だ。

 『地球上のすべての個人とすべての組織が、より多くのことを達成できるようにする』――これは、2014年に3代目のグローバルCEOに就任したサティア・ナデラ氏が新たに掲げた同社の企業ミッションであり、これに基づき日本において目指す企業像を、「革新的で、安心して使っていただけるインテリジェントテクノロジーを通して、日本の社会変革に貢献する」と掲げている。

1991年旭化成入社。2000年にLondon City大学(現ロンドン大学シティ校)経営大学院にてMBA取得後、2003年ジョンソン・エンド・ジョンソン入社。2008年より日本ヒルティ人事本部長、2012年よりアストラゼネカ執行役員人事総務本部長を歴任。2016年7月に日本マイクロソフト入社、現職。日本マイクロソフトの経営執行チームのメンバーでもあり、全社のトランスフォーメーション(変革)の推進、カルチャー(企業文化)の浸透、働き方改革、人材育成、ダイバーシティ&インクルージョンの推進など多方面で尽力。

 このミッションはすべての行動の核となる。杉田氏は、「どんなスピーチや講演、プレゼンにおいても、CEOのナデラは必ずミッションから話す。これは企業風土やカルチャー、ダイバーシティ&インクルージョンなどのすべてにつながっている。彼がよく言うのは、『“CEO”の“C”は“Culture(文化)”の“C”』であり、自分がすべきことは、カルチャーチェンジ、トランスフォーメーションだ、と。個々の情熱や才能を会社の使命に生かす文化があれば企業は何でもできる」と話した。

 日本マイクロソフトでは企業文化の変革を進める中、以下の4つの項目にフォーカスした。①Growth mindset(成長マインドセット) ②customer obsessed(常にお客様を第一に考える) ③ダイバーシティ&インクルージョン ④One Microsoft、である。①のグロースマインドセットの“成長”は、「企業の拡大というより、むしろ個々人の能力が伸びるという意味での成長」を指し、④のOne Microsoftは、グローバルでマイクロソフトが一体感をもって進んでいくことを意味する。杉田氏は、「本社と現地法人では地理的にも離れており、カルチャーも違うが、内部が一枚岩でなければ、お客様第一で考えることはできない」と言い、さらに「この4つは、ナデラが社員に“こうなってほしい”という『ウィッシュリスト』だと考えている。会社を変えるにはこうした点を強化すべきであり、逆にいえば、これらが十分ではないと彼の眼には映っていたのではないか」と述べた。

 「Growth mindset」とは、“能力は経験や努力で獲得できる”という考え方であり、同社ではCEO自らがそれを体現しているという。

 「ナデラは、“自分は決して人より頭がいいわけではないが、学び続けるというパッションやスピード、意欲においては負けないし、実際に取り組んでいる”と公言している。トップが“自分もまだまだ未熟だから学び続ける”と発信することは、社員にとってよい模範になるのではないか。こうしたマインドは、言葉の使い方ひとつにも表れていて、例えば、自分にないものを問われた時も“できない”ではなく“今はまだできない”という言葉を選ぶ」