人事評価とも連携。評価の基準はインパクトの創出

 さらに、同社の最大の特徴は、これらのカルチャーと人事評価がしっかり連携しており、ミッションの実現が評価に反映されることだ。「カルチャーやミッションが大事だといいながら、全く違う基準で評価や昇格が決まるのでは、組織に文化が根付かない。そのため、愚直なまでに照らし合わせて丁寧に行っている」

 新たな人事評価制度では、「チームワークを通じた成果を実現」「成長を加速し、よりよい結果を出すためのフィードバッグの仕組みを実装」「インパクトに応じて報酬を分配」の3つを目標にしており、それにより、成長とコラボレーションを加速し、顧客に貢献するイノベーションを生み出すことを目指している。

 評価の基準になるのは、「どれだけ“インパクト”を生み出せたか」だと杉田氏は話す。

 「重視されるのは、売り上げなどの数字面だけでなく、長期のイノベーションを生み出すことやお客様にどれだけのソリューションを提供できたか。そのためには新しいことにチャレンジしていくマインドが大切だ」

 インパクトを最大化させるには、①個人の成果 ②他者の成功への貢献 ③他者の知見の活用の3つのコンビネーションが重要であり、核となるのは「成長志向」の信念だという。なかでも重要なのは、「他者の知見の活用」。グローバルで12万人弱いる社員の知見を活用すれば、何もない所から始めるよりもスピーディに物事が進むはずだと述べた。

 急速にビジネス環境が変化するなか、開発サイクルも短期化している。同社では従来、「全社的に同一リズム、年1度のゴール設定と正式レビュー」を制度化していたが、「ペースの早い我々のビジネスにおいて年1度のレビューでは不十分」だとして、年に最低2回のフィードバックを行い、それ以外は各ビジネスに応じて判断するシステムに変更した。必要に応じて頻度を多くしたり、短期間の振り返りを行うなど、今まで以上にきめ細やかなフィードバックとチェックをすることで、柔軟な軌道修正が可能になった。「多くの部署では、毎週あるいは2週に1度、上司と1対1の面談を行うが、在宅勤務の社員も多いため、Teamsのオンライン会議などを使いながら行う」スタイルだ。

 また、“フィードバックを短期間でどれだけ回せるか”を重視している。「例えば、プレゼンを行ったら、その日のうちに参加した人に具体的な感想を聞き、フィードバックをすぐに受け取れる仕組みができている。頻度の高いフィードバックを通じ、自分をより成長させていくことが可能だ」と杉田氏は話す。定期的に行う上司との面談では、自分の業績や達成度の振り返り、改善点を考え、次にどんな行動をおこせばインパクトを生み出せるかなどの目標設定を行う。

 開発サイクルのスピードアップを実現するには、突出した力を持つ優れた一部の人たちだけが頑張るのではなく、チームワークでビジネスを行うことがカギになる。

 「そのためには、部門を超えて社内の人たちを巻き込み、あらゆる知見を有効活用する“巻き込み力”が問われる。チームの力でパフォーマンスを最大化させていくことが大事だ」と杉田氏は強調する。セールスやIT部門のみならず、時に人事や経理部門なども巻き込みながらチームワークを機能させる。実際に、社内での様々な部門とのコラボにより、顧客へのインパクトを生み出すようなケースも出てきているという。それに沿って、人事評価もチームワークを重視したものになっている。

 現在の状況について杉田氏は、「人事制度と組み合わせながら、カルチャー変革に取り組んでいる最中だ。カルチャーを浸透させることは時間がかかるが、明らかによい方向に向かっている」と話した。