経営管理職育成のポイントは「行動変容」の実現

細川:私も以前、保険会社にいましたが、当時の保険業界は似たり寄ったりでした。今はそういう時代ではありません。その先駆者が、第一生命さんだと思います。幹部候補育成のポイントはなんでしょうか?

原:学んだことをきちんと行動変容につなげられるかどうか、だと思います。今までも様々な幹部育成研修や経営管理職の研修を続けてきました。従来のように変化の少ない時代は、例えばMBAの知識を学ぶだけでも課題解決につながることも多かったのですが、そうした“形式知”は今の時代に適用できなくなっています。ですから、「勉強になった」で終わるのではなく、学んだことをきちんと行動に移して、自身が変わっていける“実践知”であるかどうか、というのがポイントだと思っています。

細川:行動を変えることは非常に難しいです。そのためにフォローアップは非常に重要だと思います。同僚同士でフォローし合うピアコーチング、プロのコーチやシステムで行うフォローアップなどがありますが、第一生命さんの行動変容の一番の仕組みはなんでしょうか。

原:例えば、ビジネスコーチ社に支援をお願いした「次世代経営塾」は、7カ月の研修プログラムでしたが、集合研修は4回だけで、2回は半日でした。

 最初の集合研修で、5年後どういうリーダーでありたいかという目標設定をし、そのギャップ分析から自分に何が足りないかを明確にします。集合研修と集合研修の間は受講生同士のピアコーチングと、月に1回のプロコーチの電話や対面でのコーチングでフォローしました。受講生の悩みや課題を上司がフォローするのが本来的だとは思いますが、やや高度なものが求められる分、なかなか上司だけでは指導しきれないところがあります。第三者の視点で様々な企業のリーダーの方と接しているプロコーチからコーチングしてもらう機会は、気付きも多く、成長の後押しとしては素晴らしいものだったと思います。

細川:そう言っていただけて、非常にうれしいです。やりっぱなしの研修では効果がなくて、行動変容にはつながらないと思います。

原:そこが今までの悩みでもありましたから、それを解決していくうえで非常に効果的なメソッドだと思っています。「次世代経営塾」は、8人で実施したプログラムでしたが、普段接点のない部門のメンバー同士で組んでピアコーチングをしてもらうと、少しかじっただけのコーチングでも、お互いの気付きが深く、同僚や先輩、上司と話すのとはまた違う気付きも多かったようです。

細川:接点が少ない方が、固定観念もなく、バイアスもかかっていないというメリットがあります。接点が多いと、つい、いい加減になってしまいますから。

原:少し照れくさいですしね。

細川:フォローアップは手間がかかるので、敬遠する研修担当の方もいるのですが、原さんはグローバルで人財育成をずっとやってこられたから、科学的なアプローチとしてフォローアップを取り入れたのではないでしょうか。

原:導入は2017年です。その前年11月頃にビジネスコーチ社の方に初めて提案してもらって、これだなとピンときました。17年6月くらいにはプログラムがスタートしていましたので、我々の悩みとビジネスコーチのメソッドがピタッと合ったと思っています。