細川:第一生命さんの新卒社員は、いわゆる良い大学を出た優秀な学生が多いと思いますが、それでもやっぱりそうなんですね。そういう若い社員を育成するために、どんな研修をしているのでしょうか。

原:我々が新入社員に求めているのは「主体性の発揮」「チャレンジ」などの6~7項目です。特に入社後すぐは、まず主体的に色々な専門性スキルを身に付けたり、仕事ができるようになってほしいと思っていますので、研修では、2年後の自分がどうなっていたいのかをきちんとイメージしてメッセージとして書き出し、メンバーと共有して、宣言してもらっています。選抜育成の「5年後のあるべき姿」と似ていますが、5年だと長いので2年間で目指すゴールと現状とのギャップを明確にして、そのギャップを埋めるために何をすべきかをはっきりさせることをフォローアップには盛り込んでいます。

細川:ビジョンですね。

原:そうです。ビジョンや目標をもって若いうちから取り組むということでしょうか。今年は238人の新入社員を、1グループ約8人のグループに分けて実施しました。

細川:素晴らしいビジョンを語る人がいると、それに引っ張られますよね。

原:そういうシナジーもあると思います。

細川:まさにビジョンエンロールですね。

若手に主体性と自立を、後押しするのはマネジメントの役割

細川:主体性はやはり重要ですよね。

原:大きな会社ですが、変化が激しい時代です。さらに志向も価値観もバラバラだというミレニアル世代の特徴もあります。

 そういった中では我々が画一的に何かを教えることに、あまり意味がなくなってきました。「何ができるようになりたいのか」「将来、どうありたいのか」などを個々が自身のキャリアと仕事の意味について主体性を持って考えて、行動してもらえるようにならないと、と思っています。とはいえ、一人ひとり手取り足取り伝えることはできませんし、メンターや制度を使ってフォローはするにしても、自分の中にエンジンがないと難しいと思います。

細川:新入社員の頃に、主体性を植え付けるのが大事ですよね。指示命令をされ続けたら、30歳過ぎてもほとんど変わりません。20代のうちに自分で考えて、自分で行動させるというのが大事だと思います。

原:新入社員に限らず、一人ひとりがきちんと学んで、自己成長できるような社員になってほしいですし、会社はそれをきちんと支援しなければならない。そのために今、一人ひとりに合った研修のラインアップを拡充しています。

 今までは、年次ごとに社員を集めて、会社が必要だと思うものを提供していたのですが、変化が激しく、人もビジネスも多様化している今は、一人ひとり学びたいこと、学ばなければいけないこともバラバラです。そのような中ではやはり「自分で勉強する」ことが肝になってきていますから、公募型の研修やe-ラーニングの拡充、自分に必要な研修を見つけて申請してもらって、条件が合っていればきちんと補助をするという施策も行っています。

細川:研修も自分から取りに行くんですね。

原:「キャリアデザインは自分でする」というのが最終形だと思いますが、一足飛びには行けません。日本企業の特徴として、ジョブローテーションや業務自体も会社が主導的に与えて育ててきていますから、社員たちも急に「自分で育て」と言われても困惑してしまいます。とはいえ「自分のしたいことが何か」は、会社の仕組みの中で自立的に考えて、自分でキャリアの責任が持てる社員になっていってほしいので、そういう方向に近づける施策をできるだけ増やしていく必要があると思います。