細川:ベトナム赴任時の競合がサムスンやマイクロソフトだったという話でしたが、彼らの自立心はすごいですよね。

原:ハングリーさが半端ないと思います。例えばサムスンの社員は、2年間、韓国人がひとりもいない村に派遣されて、実績を上げないとずっとそのままそこにいることになったり……。日本企業の持っている優しい面は乏しく、本当に退路を断たれた状態で訓練されているのを目の当たりにして、このままでは日本は勝てないな、甘いなと実感しました。

細川:韓国企業はUターンではなくて、Iターンなんですね。

原:まさにIターン、行きっぱなしです。実績を上げないと帰れないわけですから。

細川:やっぱり自立するというのがすごく重要なテーマだと思いますね。

原:本当にそう思います。これは私が声を上げたからということではなく、第一生命の中で今必要な人財について議論を重ねていった中で行き着いたことが、たまたま私の思いと近づいているのだと思っています。

 こうして人財を育成しようという第一生命は、本当にいい会社だと感じています。一般的には、入社3年後の離職率は2割程度と聞きますが、第一生命は若手の離職率が他の会社に比べて断然低い。もちろん辞めていく人もいますが、離職率が低いというのは、今の若者にも会社の良さが伝わっているということかなと思っています。

細川:生命保険会社ですから社員がどんどん入って、どんどん辞めるという感じがありますが、本業は長くお客さまに寄り添って、お客さまの保障をしていくという会社ですからね。

原:おっしゃる通りで、領域がものすごく広いです。まず営業があって、運用もあれば、アンダーライティングの部分もあって、それを支える管理スタッフ分野やリスク管理など、業務の複雑さはメーカーの比ではありません。それをある程度、包括的に理解してもらうためには一定期間働いてもらわないといけないと考えると、定着率だったり、本人が腰を据えて学びたいと思うような環境整備はすごく大事だと考えています。

細川:やりがいを感じるとか、そういうところが第一生命さんは素晴らしいのだと思います。原さんの話を聞いてそう思いました。今日は、ありがとうございました。

細川 馨(ほそかわ・かおる) ビジネスコーチ株式会社 代表取締役
細川 馨

 外資系生命保険会社に入社し、支社長、支社開発室長などを経て、2003年にプロコーチとして独立。
 2005年にビジネスコーチを設立。エグゼクティブコーチ育成のスクールを主宰。著書に『あなたの成果が爆発的に飛躍するできる仲間の集め方』(日経BP社)、『上司は社員と飯を食え』(日経BP社)、『「右腕」を育てる実践コーチング』(日本経済新聞出版社)など。

※筆者の会社名および役職は執筆当時のものです。