もちろん私は、「仕事ができるリーダー候補だけを厚遇して教育を与えよ」と言いたいのではありません。ハイパフォーマーではない従業員の底上げを図り、業績を伸ばしていくのが、行動科学マネジメントを活用したビジネスの基本です。すべての従業員に、その能力を最大限発揮してもらえるような教育を与えるべきだと思っています。

 また、若い従業員もそれを求めています。彼らが仕事を続ける動機付け条件は様々ですが、「成長したい」という思いは共通しています。

 そして、それはいわゆる新人教育で成し遂げられるものではありません。個々人の段階に合わせた継続的な教育が必要なのです。

 ところが、若者たちの離職率が高くなっていることから、「お金をかけたって、どうせ辞めてしまうんだ」と、従業員教育に後ろ向きの考え方をする経営者やリーダーが見受けられます。そういう発想こそが、若者の離職を呼んでいるのだと気づくべきでしょう。

 1人の従業員が辞めてしまうと、新たな採用のために大きなコストがかかります。しかも、コストをかけたからといって採用に至るとも限りません。

 一方で、「この職場にいれば成長できる」と感じた従業員は辞めることなく、成長したことでより高い業績を上げてくれるでしょう。

 新規採用と今いる従業員への教育、どちらにお金と時間をかけた方がいいかは明らかです。

石田 淳(いしだ・じゅん) 株式会社ウィルPMインターナショナル 代表取締役社長兼最高経営責任者
石田 淳

 米国のビジネス界で大きな成果を上げる行動分析を基にしたマネジメント手法を日本人に適したものに独自の手法でアレンジ。「行動科学マネジメント」として確立。その実績が認められ、日本で初めて組織行動の安全保持を目的として設立された社団法人組織行動セーフティマネジメント協会代表理事に就任。グローバル時代に必須のリスクマネジメントやコンプライアンスにも有効な手法と注目され、講演・セミナーなどを精力的に行う。趣味はトライアスロン&マラソン。2012年4月には、世界一過酷なマラソンといわれるサハラ砂漠250kmマラソン、2013年11月に南極100kmマラソン&トライアスロンともに完走を果たす。著書に、『短期間で社員が育つ「行動の教科書」』(ダイヤモンド社)、『40歳を過ぎても「会社に必要とされる人」でいるための学ぶ技術』(日経BP)など多数。

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※筆者の会社名および役職は執筆当時のものです。