ITの発達で様々なシステムの利便性が向上したことによって、私たちのビジネス環境は大きく変わりました。AIが本格稼働する今後は、さらなる変貌を遂げていくことは明らかです。

 いつの時代も成長に変化はつきものですが、今起きているそれは、これまでのものと次元が違い、まさに「劇的」と言えます。

 ところが、肝腎のビジネスパーソンは、その変化に著しく遅れをとっています。本人たちはそれなりに変わっているつもりでも、スピードが遅すぎるのです。

 たとえば、本連載でもたびたび取り上げている不必要な会議。会議にとられる時間を惜しむ声は聞こえてくるものの、具体的な改善策を自ら提示する動きはなかなか出ません。

 ある流通業界のマネジャーは、「うちの幹部は、どうやったら会議を減らせるかについて会議をしています」と自虐的に話しますが、もはやそんなことを嘆いている余裕は1分たりともありません。

 「これだけ通信環境が整った時代に、多くのメンバーが貴重な時間を割いて同じ場所に集まる必要などなく、その時間をもっと生産的なことに充てるてるべきだ」

 この、分かりきった方向にすばやく舵を取ったライバル社もいるなかで、変化に二の足を踏んでぐずぐずしていれば致命的な結果が待っています。

 次の時代を担うマネジャーが、絶対に陥ってはならないのが「前例主義」です。

 前例主義のリーダーは、とても迷惑な存在となります。前例を踏襲する先にイノベーションが起きないのはもちろんのことですが、そもそも前例を踏襲すればいいのなら、それは新人でも可能です。高い給料を払ってまで、リーダーにやらせる必要はありません。

 人が前例主義に陥る原因の一つに、過去の成功体験があります。「かつて、こうやったらうまくいった」という記憶があれば、どうしても同じことを繰り返したくなる気持ちは分かります。でも、それは命取りになります。

 多くの人は実際の成功体験に引きずられているのではなく「そういうものだ」と思っているだけなのです。たとえば、「メンバー全員が揃っての会議も重要だ」と思い込んでいるだけで、過去にそれによる果実を手にしているわけではありません。

 会議に限らず、古くからある手続き上の決まりなど、ムダなものは一刻も早く排除していきましょう。良い習慣をつくり、悪しき習慣は捨てる。これが、今後のマネジャーにとって不可欠のスキルです。「自分はまだ若いから変化には強いはずだ」という油断は禁物です。