東京オリンピックに向け、政府が旗振り役になってキャッシュレス化が進められています。現状のままでは外国人観光客のニーズに全く対応できないという危機感を抱いているのでしょう。

 たしかに、海外に行くと日本の遅れ度合いを痛感します。

 昨年末、私はアメリカに視察旅行に出かけましたが、その時に訪れたニューアーク空港のカフェには、注文を取りに来る店員もいなければレジもありませんでした。席に置かれたタブレットとカードリーダーで注文も会計も済ませることができます。

 「味気ない」と感じる人もいるでしょうが、私にはとても便利なシステムに思えました。とくに、国際空港のカフェともなれば、言葉が通じにくい客や、搭乗までの時間を気にする客も多いはず。客が会話をする必要もなくタブレットで注文でき、それがすぐに厨房に通じます。レジで待たされることもないわけですから、たいていの人はこの方法を肯定するでしょう。

 中国をはじめとしたアジア諸国でも、日本とは比べものにならないほどキャッシュレス化が進んでいます。そこではすでに、これまでインターネットすら無縁だったようなお年寄りも、街の商店でスマホによる支払いを行っています。孫へのお小遣いもスマホ経由で与えています。

 そうした光景を見た日本人の中には、「お金のありがたみを感じなくなる」「いくら使ったかの金銭管理が甘くなり、浪費してしまう」などという理屈でキャッシュレス化にあらがおうとする人もいます。

 しかし、そうした声は飲み込まれていくでしょう。もはや、キャッシュレス化は世界的潮流であり、誰にも止めることはできません。「我関せず」でいたら、まともな生活は送れなくなります。

 キャッシュレス化に限らず、今後AIが私たちの生活を大きく変えていくことは間違いありません。

 人手不足に苦しんでいるサービス産業にとって、AIは希望の光でしょう。一部のコンビニでは、すでにAIを駆使した完全無人化の試みがなされています。

 一方で、AIに取って代わられる可能性がある業務に就いている人たちにとっては、深刻な未来が待ち受けているかもしれません。たとえば、税理士や行政書士といった士業の業務は、一般人には分かりにくい煩雑で専門的な手続きを行うことによってその対価を得てきました。しかし、AIがそれを完璧に代行できるようになれば、士業の人に依頼する人はいなくなります。依頼人は余計な出費が省けるのですから歓迎します。

 このように、多くの場面で、AIが生み出してくれる様々な「便利」は受け入れられていくでしょう。その流れは止まることはありません。

 テクノロジーの発達によって最近20年ほどで起きた変化は、誰もが想像もできないものでした。キャッシュレス化もその一つです。しかし、なんだかんだ言って私たちは、その変化に合わせて生きています。今後もさらにすごい速度であらゆることが変化していくでしょう。

 もちろん、そこにはマイナスの作用も働きます。例えば、これまでのような対面コミュニケーションの場が減っていくことは確実です。