石田 淳
株式会社ウィルPMインターナショナル 代表取締役社長兼最高経営責任者

 日本はすっかり成熟社会になりました。たいていのアイデアは出尽くし、人々が「欲しいもの」は行きわたりました。加えて、これから人口は減少の一途を辿ります。

 このように、画期的商品が生まれにくく、市場規模も縮小していく厳しい状況下で企業が生き残るには、自分たちが持っているものをたえず見直していく必要があります。しかし、それができている企業は多くはありません。

 金融商品を扱う中堅企業のD社は、早くから販売手法の見直しを図ってきました。その一環として、約10年前には、当時では一般的でなかったKGI(Key Goal Indicator)やKPI(Key Performance Indicator)といった概念を取り入れました。

 ご存じの方も多いでしょうが、KGIは重要目標達成指標、KPIは重要業績評価指標のこと。具体的数値で目標を設定させるKGIと、その目標を達成するためにどのような行動をどれだけとるかというプロセスを重視するKPIによって、従業員一人ひとりのパフォーマンスを高めようと、D社は考えたのです.

 ここまでは間違ってはいません。たしかに、その取り組みによって一時期、D社の業績はアップしました。しかし、だからこそ「新しいことをやっている」という思い込みから抜け出せなくなったようです。

 実は、D社のKPI計測システムは、導入時に設計されたまま見直されていませんでした。顧客のニーズは日々変化しているにもかかわらず、その顧客に売る手法が見直されてこなかったのです。

 そのためか、ここ3〜4年、D社の売上は伸び悩んでおり、経営陣はかなり危機感を募らせています。

「もう古いかもしれない」という発想をいつも持つ

 D社の現場のマネジャーたちは、みな最大限の努力をしています。D社に限らず、日本中のマネジャー職が、「よかれ」と思って頑張っているはずです。

 では、その「よかれ」の根拠について考えたことがあるでしょうか?

 もしかして、なにか古い成功体験にこだわってはいないでしょうか?

 行動科学マネジメントでは、「計測」を重視しています。目標を達成するには、そのための行動がどれだけとられているかが大切だからです。

 しかし、当然のことながら、それは「過去の計測」ではありません。日々、更新していくことが前提となっています。