新型コロナウイルスによる感染症(COVIT-19)の拡大に伴う緊急事態宣言が解除され、私たちは徐々に生活を取り戻しつつあります。しかし、すべてがすっかり元通りに戻ることはないと、多くの人が考えていることでしょう。

 もちろん、ワクチンが開発されるか治療法が確立されるかによって、いずれ人々はこのウイルスの恐ろしさからは解放されます。それでも、元には戻らないものがたくさんあるはずです。

 その最たるものが、ビジネス環境ではないでしょうか。多くの職場において、これまでのような働き方は通用しないし、変わることができない人は必要とされなくなります。そして、そういう人が、早くも企業のお荷物としてあぶり出されています。

 米ツイッターは、今後も希望する社員には在宅勤務を認めると発表しました。テレワークがなかなか進まなかった日本企業も、続々と同様の意向を示し始めています。

 とくに、IT系の企業は切り替えが早く、「ニコニコ動画」を運営するドワンゴは、約1000人の全社員を永続的に在宅勤務とする方針を示しました。GMOインターネットグループも、都市部のオフィスに勤務する約4000人を在宅勤務に移行するそうです。

 もともと、若者に人気のこうした企業は、利便性のよい場所の新しいビルに社屋を構える傾向にありました。若い社員たちに、いかに気持ちよく働いてもらうかに心を砕いてきたわけです。当然、高額な家賃が発生していました。

 その家賃や、社員の交通費が削減できるというのは、企業にとって大きなメリットです。加えて、社員からも在宅勤務を歓迎する声が出ており、企業の背中を押しているようです。

 最近行われた、日本生産性本部の調査結果はテレビ番組でもずいぶん取り上げられました。20歳以上の1100人に、COVIT-19の収束後もテレワークを続けたいか問うたところ、「そう思う」「どちらかというとそう思う」の合計が62.7%に上ったというものです。やはり、通勤しないで済むというのは快適だったのでしょう。

 一方で、テレワークで効率が上がったと答えた人は3割強にとどまっています。

 このことはなにを示唆しているでしょうか。働く側が効率の悪い仕事をしていても、在宅だから経営サイドはそれを見抜けないわけではありません。むしろ、一人ひとりの効率について、経営サイドがより厳しく見極めることになるはずです。

 たとえば、日立製作所は今後、在宅勤務を増やしていくと発表しましたが、仕事については職務に応じて賃金を支払う「ジョブ型」をとると述べています。要するに、明確になすべき内容が示されるわけで、それが「できたか、できないか」が問われるのです。

 これは、在宅勤務を推進していく企業に共通の方針となるでしょう。