石田 淳
株式会社ウィルPMインターナショナル 代表取締役社長兼最高経営責任者

 電機資材メーカーで販売促進部の課長を務めるK氏は、先日、入社して2年目になるT君を、1人で顧客のところに行かせました。

 仕事内容は、いつも購入してもらっている部品の追加注文を受けること。言ってみればルーチンができており、「これまでと同じようにやってくれれば大丈夫だから」とT君を送り出しました。

 というのも、T君は過去に10回以上K氏に同行しており、仕事の手順を見てきています。だから、K氏は安心していたのです。

 ところが、その思惑は外れました。T君が会社に戻ってくるよりも前に、顧客からK氏に電話が入りました。 「Kさんと僕の間柄だから遠慮なく言うけどさ、彼に営業させると客が減っちゃうよ」

 どうも、T君の対応に不快感を持ったようです。びっくりして詳しく聞いてみると、T君は、通された応接室で顧客に向かい合うと、いきなり「今回も前回と同数ほどの注文をいただけるとありがたいのですが……」と切り出したというのです。

 K氏が一緒の時は、挨拶のあとに業界の動向などを含めた雑談を10分ほど交わし、それから丁寧に注文のお願いへと話を進めていました。しかし、T君にとって雑談は余計なもので、受注作業だけを「これまでと同じように」やればいいと思ったようです。

営業以外でも役立つ社内でのロールプレイング

 最近、課長たちから同様の悩みを打ち明けられることが増えました。

 ある営業職の課長は、「僕はフォローに回るから君が積極的にやってみろ」と部下を新規顧客開発の営業に同行させました。

 その部下は商品知識も高く、張り切っていたのですが、どの商談もうまくいきませんでした。いつも、いきなり商品説明を始めてしまうために、相手が白けてしまうのです。

 なかには、「別に、お宅と取引すると決めたわけでもないのに、そんな話を聞かされるほどヒマじゃないよ」と途中で打ち切られてしまうケースもありました。