どうして、こういうことが起きてしまうのでしょう。おそらく、部下たちに「相手がどう考えているか」という他者視点が欠落しているのです。「注文を取りたい」とか「商品説明をしたい」というのは自分の欲求です。そして、その欲求をかなえるためには、相手のOKが必須です。

 だから、「注文を取りたい」あるいは「商品説明をしたい」相手が、それを歓迎してくれる雰囲気をつくりだすことを、課長たちは当たり前のこととしてやってきました。まずは雑談を交わしながら相手の反応を見て、「今日はあまりプッシュしないでおこう」などという判断もしてきました。ところが、他者視点が欠けていて、それができない若者が増えているのです。

 さて、そういう若者たちをどう育てていけばいいでしょうか。最もシンプルで効果が期待できるのが、「役割交代」のロールプレイングです。

 たとえば、あなたが営業部門の課長なら、「顧客役」と「営業スタッフ役」の部下をつくり、営業のロールプレイを行ってもらいます。次に、役割を交代して同様のことを繰り返します。そして、お互いに「顧客として相手の営業をどのように感じたか」をフィードバックしてもらうのです。 「言葉遣いは丁寧だけど、慇懃無礼な印象で不快」 「なんだか、お客に対して上から目線を感じる」 「商品のいい部分ばかり言い過ぎて、かえって信用できない」 「こちらが検討する時間を与えてくれない」

 このように、徹底して「顧客視点」を伝え合うようにします。これを何度も繰り返していくことで、「顧客になって考える」クセが身についていきます。

 もちろん、営業でなくとも有効です。社内コミュニケーションをスムーズにするために「他者視点」を伝え合うというのもいいでしょう。

 単に、自分が気づかなかったマイナス部分を指摘してもらえるだけではなく、ロールプレイングで違う立場を演じることで、「他者という存在」を意識するようになるのが、この手法の優れたところです。

石田 淳氏のセミナー
行動科学マネジメント エッセンス無料体験会
〜管理監督者、事業部・人事部のマネジャークラスの方限定〜

【日時】2016年7月13日(水) 15:00〜17:30
【会場】東京都内で交通の便が良いところ
石田 淳(いしだ・じゅん) 株式会社ウィルPMインターナショナル 代表取締役社長兼最高経営責任者
石田 淳

 米国のビジネス界で大きな成果を上げる行動分析を基にしたマネジメント手法を日本人に適したものに独自の手法でアレンジ。「行動科学マネジメント」として確立。その実績が認められ、日本で初めて組織行動の安全保持を目的として設立された社団法人組織行動セーフティマネジメント協会代表理事に就任。グローバル時代に必須のリスクマネジメントやコンプライアンスにも有効な手法と注目され、講演・セミナーなどを精力的に行う。趣味はトライアスロン&マラソン。2012年4月には、世界一過酷なマラソンといわれるサハラ砂漠250kmマラソン、2013年11月に南極100kmマラソン&トライアスロンともに完走を果たす。著書に、『短期間で社員が育つ「行動の教科書」』(ダイヤモンド社)、『40歳を過ぎても「会社に必要とされる人」でいるための学ぶ技術』(日経BP)など多数。

株式会社ウィルPMインターナショナルHP
社団法人組織行動セーフティマネジメント協会HP
石田淳ブログ

email:support@will-pm.jp

※筆者の会社名および役職は執筆当時のものです。