石田 淳
株式会社ウィルPMインターナショナル 代表取締役社長兼最高経営責任者

 働き方改革によって「時短」が進められれば、10分、15分という時間が貴重なものになっていきます。「終わらなければ残ってやればいいじゃない」という時間に関しての丼勘定は許されない時代に突入しました。

 そのように、みなさんを取り巻く状況は変化しているのに、みなさんは相変わらずプレイングマネジャーとして、部下を育成しながら業績も残さなければなりません。

 限られた時間の中で、プレイングマネジャーとしての仕事をこなしていくには「それをやれば結果が出る」というエビデンスに基づいた行動が必須です。「なんとなく」という勘や根拠のない思い入れで動き、失敗している時間はありません。

 ある営業主体の企業で働くA課長は、これまで順調にキャリアを形成してきました。A課長の部署は売り上げも出ているため、「できる課長」として、経営陣からも期待されています。

 しかし、A課長自身は、内心で焦りを感じています。

 これまでいい数字を残せてきたのは、一人の特別に優秀な部下がいて多くの契約を取ってきてくれたからだということを分かっているからです。もし、その部下が退職したり、他部署に異動になったりしたら、これまでのような業績を維持する自信がないのです。

 A課長は、その優秀な部下には口うるさいことは言わない放任主義で接し、なかなか契約を取れない部下たちには「もっと頑張れ」と発破を掛けてきました。

 そういう仕事の進め方をしてきた結果、営業部門でありながら「どうしたら契約が取れるか」という最重要課題について、一つもエビデンスを持っていない自分に、いまさらながら気づき慌てているわけです。

 これまでの日本企業では、売り上げさえ出ていれば、このA課長のような仕事の進め方が問題視されることはありませんでした。マネジメントに関しても、売り上げを立てる部下については「優秀です」、そうでない部下は「あまり仕事ができません」と上に報告していれば、評価業務は済んでしまいました。しかし、そんな評価は誰でもできるのです。

 これからのマネジャーが、それで済まされるはずはありません。マネジャーの重要な仕事は、結果を出せないでいる部下を「能力がない」と評価することではなく、結果を出すにはどうすればいいかを具体的に教え、実際に結果を出させることです。