石田 淳
株式会社ウィルPMインターナショナル 代表取締役社長兼最高経営責任者

 今回は少し、目の前の仕事を離れて、先の長い話をしましょう。

 厚生労働省が発表している「100歳以上の高齢者数の年次推移」というデータがあります。それによると、統計を取り始めた1963年には、100歳を超える高齢者はわずか153人しかいませんでした。1990年代初めにテレビのCMで100歳の双子姉妹「きんさん・ぎんさん」が話題に上ったのは、当時はまだ、100歳になってまで元気でいる高齢者が珍しかったからです。

 ところが、1998年に初めて1万人を超えてからは加速度的なカーブを描いて増え、2012年に5万人、2015年には6万人を突破しました。これから20年後には30万人を超えるだろうという予測もあります。

 こうした背景には、栄養状態の改善や意識の変革、医療の発達があり、それ自体は大変に喜ばしいことです。しかし、働き盛りのみなさんにとっては喜んでばかりもいられません。当然のことながら、年金など社会保障制度のための分担金がますます重くなります。

 また、親の介護の問題も深刻です。今、企業が頭を痛めているのが従業員の介護離職です。辞職はせずに休暇という形を取っていても、その間は働き手が不足してしまいます。これが育児離職であれば、復職の時期がわかっているからいいのです。介護の場合、いつまで続くかメドがたちません。30年にもわたって介護が必要になることだって考えられます。

 このように、多くの人が100歳過ぎまで生きる時代には、みなさんにかかる負担は非常に大きくなるといえましょう。

 さらに、もうひとつ真剣に考えなければならない問題があります。それは、みなさん自身が100歳を超えて生きる可能性大だということです。いま30代の人なら、あと70年生きなければなりません。おそらく多くの人が、漠然と「80歳くらいまで元気でいて、ぽっくりいけたらいいな」などと思っているでしょうが、そう簡単には死ねません。その準備をどうしたらいいでしょう。

 年金をあてにできないのはいうまでもありません。では、退職金はどうでしょう。たとえ3000万円もらってみても、それで100歳まではとうていもちません。となれば、働き続けるしかありません。

 いま、60歳定年から、継続雇用などで65歳まで働く人が増えています。しかし、みなさんの時代にはそれがさらに延長されるでしょう。たとえば、企業の定年は75歳で、その後、80歳や90歳まで働くなどということが起きるかもしれません。