経団連が今年の1月に発表したデータでは、会員企業の約8割が従業員の副業を認めていないことが分かっています(※1)。

 一方、マイナビが2017年に調査したところ、約34%の人が副業を経験しているという結果が出ています(※2)。

 もちろん、調査母体が異なり、調査方法にも違いがあるため、軽々に比較はできませんが、企業の思惑に関係なく、多くの人が副業に関心を示しているのは確かでしょう。人間誰でも、「もっとお金が欲しい」と考えるのは当然のことです。

 しかし、たいていの場合、副業で得られるお金はわずかなもので、それによって生じるリスクとの兼ね合いをしっかり見極める必要があります。

 ある金融系企業に勤める30代後半のA氏は、3年くらい前からウェブの記事を書くアルバイトを会社に内緒で行っています。かつての顧客が投資アドバイスに関するホームページを開設しており、A氏に原稿を依頼してきたのがきっかけでした。

 「原稿といってもごく簡単なものです。もちろん匿名ですし、問題はないと考えています。不定期にしか依頼はこないので、たいした稼ぎにはなりません。でも、自分の専門分野だから簡単に書けるし、小遣いを得るにはちょうどいいんですよね。テーマについてもこちらで考える必要はなくて、向こうから投げてくれるので簡単なんです」

 私は、A氏がやたらと「簡単」を連発するのが気になりました。たしかに、面倒な手続きや契約を経ずに小遣い稼ぎができるのは魅力でしょう。しかし、そこには思いも寄らぬリスクが隠れています。

 一方で、心配なことについて聞くと、「報酬が安い」「詐欺」という解答が群を抜きます。

 つまり、簡単にできることがいいのだけれど、そうした仕事は報酬が安く、ひどい時には詐欺にあって踏み倒されるかもしれないと不安に思っているわけです。

 しかしながら、1回の報酬不払いで終わるなら「いい勉強をした」で済ませることもできるでしょう。

 それよりも怖いのは、本人に認識のないままに、結果的に犯罪行為に手を染めてしまうようなケースがあることです。

 前述したA氏の元顧客が、もし不法な資金集めなどをしていた時、参考記事を書いていたA氏が「無関係です」で済むかどうかは分かりません。

 場合によっては、本業も巻き込むような大トラブルに発展しかねません。

 また、本人は「簡単な副業」のつもりでも、お金を支払っている方の感覚は違います。

 大学でフランス語を学んでいた40代のB氏は、日本企業が輸出用に使う商品パンフレットの翻訳アルバイトを始めました。長くても3ページくらいですから、週末にできると踏んだのです。