石田 淳
株式会社ウィルPMインターナショナル 代表取締役社長兼最高経営責任者

 いま、どこの企業も優秀な人材を確保することに躍起になっています。とくに深刻なのが営業分野で、たとえ名だたる大企業であっても、将来を託せる若い営業スタッフを育成することが難しくなっているのです。

 かつて、多くの業種で営業分野は花形でした。しかし、いまは「営業だけはやりたくない」と拒絶反応を示す若者が増えています。せっかく新規に採用しても、顧客からクレームを受けたり、上司が売上数字についてせっつこうものなら、彼らはすぐに辞めてしまいます。

 こうした状況にあって、最も苦労しているのは現場のマネジャーたちです。会社からは「貴重な人材を、なんでちゃんと育てないんだ」と文句を言われ、人が足りなくなった分は自分で動かなくてはならないのですから。

 それにしても、どうして、こんなことになっているのでしょうか。私が見る限り、そもそも、会社の上層部からして人材活用についての認識がずれているのです。

具体的行動を示したマニュアルが必要

 多くの企業が、お金と時間をかけて、さまざまな「研修」を取り入れています。しかし、実際にその効果が出ているケースはごくわずか。というのも、たいていが従業員のモチベーションに訴える「マインド研修」に終わっているからです。

 ある大企業では、独自の「長期目標設定シート」をつくり、従業員一人ひとりに記入させています。私もいくつか見せてもらいましたが、人事担当者が「なるべく細かく書き込むように指導しています」と胸を張る通り、記入欄がたくさんあり、びっしりと従業員たちの文字が並んでいました。

 しかし、そこに書かれているのは「顧客には大きな声で挨拶する」「苦しいときほど笑顔を忘れないこと」など、継続が期待できない抽象的なものがほとんどでした。

 このように、立派なシートをつくって満足してしまうパターンが多いのですが、それでは、従業員の悩みも企業の悩みも解決しません。