2018年は「副業解禁元年」といわれています。大企業でも、丸紅、日産自動車、新生銀行、ロート製薬、コニカミノルタ、ソフトバンク、アサヒグループホールディングス、ユニ・チャームなど、次々と社員の副業をOKとするところが出ています。中小も含め、これから多くの企業がこの動きに追随していくことでしょう。本意ではなくとも、人材確保のために「そうせざるを得ない」というのが企業の本音です。

 もっとも、表向きは「副業を認めることで社員のモチベーションアップにつながるだけでなく、企業にも新しい機運が生まれ、双方にとっていい結果が期待できる」というアピールがなされています。

 たしかに、一部にはそういう効果も出てきているようです。しかし、それは企業がよほどきちんとしたルールを設けているケースに限られます。

 例えば、ある旅行会社は、通訳や旅行ガイドなど本業と関連性のある仕事についてのみ副業を認め、その仕事に関して個人事業主として会社と契約を結ぶことを求めています。こうしたやり方なら、双方にとってメリットをもたらすことも可能でしょう。ところが、現実には残念な方向に作用していることが多いのです。

 私の知人に、中堅部品メーカーの企画部に勤める30代後半の男性がいます。仮にA氏としましょう。中堅とはいえ業績は好調で、A氏には毎日さばききれないほどの仕事があるようです。このメーカーも最近、若い社員のニーズに合わせ副業が解禁されました。

 A氏は子供の教育費もたくさんかかる時期ですが、まったく副業には手を出していません。理由を聞くと「そんな時間はありません」という答えが返ってきました。副業に費やす時間があれば、本業をより精度の高いものにするか、あるいはプライベートを楽しみたいというのです。

 一方で、部下には土日を使って副業にいそしんでいる人が数名いて、A氏の悩みのタネになっています。就業時間外の土日に副業を行うことは、なんら社の規定に反していないものの、実際には明らかに部下のパフォーマンスが落ち、本業にしわ寄せが来ていることを感じているようです。

 さらに、ある部下についてはマルチまがいの仕事に手を染めているらしいといううわさを耳にし、このまま看過していれば自分のマネジメント力も問われる事態になりかねず、どう対処していけばいいか頭を痛めています。

 他社のマネジャーたちにもいろいろ話を聞いてみると、どうやら、それは特殊な事例ではなく、月に2万~3万円の副収入を得るために、怪しい仕事に手を出しているビジネスパーソンは少なくないようです。

 私が見ている限り、「2:6:2の法則」でいうところの上位2割は、ほとんど副業に手を出しません。それをやらなくとも、本業で十分に稼ぐことができているからでしょう。

 副業に関心を示すのは、もっぱら凡庸な6割と下位の2割。彼らは、本業で満足できる稼ぎを手にできていない分、副業でそれを得ようと考えます。しかし、もともとスキルが高くないために本業で十分に稼げないのですから、副業でもなかなかクリエイティブなことはできません。その結果、「仕事内容はなんでもいいから少しでも割のいいことを」とマルチまがいに走ることにもなるのでしょう。