それにしても、いったいどうしてこんなことになってしまうのでしょう。

 組織で働いている以上、その一員として最低限、果たさねばならない責任があります。仕事の引き継ぎなどその最たるものです。

 私はA氏への同情を禁じ得ませんでしたが、若者たちの間では「B氏の気持ちも分かる」という声も聞かれました。「もしかしたら、自分も退職代行業に頼ってしまうかもしれない」と吐露する人もいました。

 その理由は「気まずいから」というものでした。そもそも、普段から意思の疎通がうまくできていない上司に、退社の意向や理由を伝えること自体、大きなストレスに感じられるようです。

 こうした最悪の事態を防ぐためには、やはり、日頃からのコミュニケーションが欠かせません。そして、そのコミュニケーションは、目を見てあいさつしたり、廊下ですれ違ったときに一声掛けたりといった小さなことこそ重要なのです。

 いわゆる「One on Oneミーティング」をしていれば安心と思わないでください。わざわざ設けられた個人面談の場で「何か不満はないか」と問いただしても、部下は建前しか口にしないことも大いに考えられます。もっと、小さな会話を数多く持つようにしてください。

参考書籍:
40歳を過ぎても「会社に必要とされる人」でいるための学ぶ技術
石田 淳 著 / 日経BP社

石田 淳(いしだ・じゅん) 株式会社ウィルPMインターナショナル 代表取締役社長兼最高経営責任者
石田 淳

 米国のビジネス界で大きな成果を上げる行動分析を基にしたマネジメント手法を日本人に適したものに独自の手法でアレンジ。「行動科学マネジメント」として確立。その実績が認められ、日本で初めて組織行動の安全保持を目的として設立された社団法人組織行動セーフティマネジメント協会代表理事に就任。グローバル時代に必須のリスクマネジメントやコンプライアンスにも有効な手法と注目され、講演・セミナーなどを精力的に行う。趣味はトライアスロン&マラソン。2012年4月には、世界一過酷なマラソンといわれるサハラ砂漠250kmマラソン、2013年11月に南極100kmマラソン&トライアスロンともに完走を果たす。著書に、『短期間で社員が育つ「行動の教科書」』(ダイヤモンド社)、『40歳を過ぎても「会社に必要とされる人」でいるための学ぶ技術』(日経BP)など多数。

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社団法人組織行動セーフティマネジメント協会HP
石田淳ブログ

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※筆者の会社名および役職は執筆当時のものです。