IQとは違う能力を確実に鍛える方法とは

 2000年にノーベル経済学賞を受賞した、シカゴ大学のジェームズ・ヘックマン教授は、1970年代から、低所得層のアフリカ系アメリカ人家庭の幼児123名を2つのグループに分けて、ある調査を行っています。ひとつのグループには就学前に教育を施し、一方にはそれをしませんでした。その後、数十年にわたって追跡したのです。

 その調査の最初の目的は、就学前の学習によって将来のIQに影響があるはずだという仮説を証明することでした。しかし、中学・高校と進学していくと、両グループにIQの差は出ませんでした。

 ところが、面白いことがわかりました。就学前に学習機会を与えられたグループは、むしろ非認知能力の向上が見られたそうです。そして、大人になってからの犯罪率や離婚率、生活保護に頼る割合も低くなることがわかりました。

 この調査から導き出された結論は、学力をアップするということもさておきながら、社会的に活躍できる人材になるためには幼児期の学習環境が重要だということなのですが、これは、幼児期に限定された現象ではありません。

 たとえば、1日30分でいいからランニングを継続するなど、大人になってからでも非認知能力をアップする方法はいくらでもあります。

 ただし、勘違いしないで欲しいのは、それは「根性を鍛えろ」ということではありません。これまで避けてきたことを、仕組み化して習慣にすることに意味があります。こうした経験の積み重ねによって、IQとは違う仕事に必要な能力が確実に鍛えられるのです。

石田 淳(いしだ・じゅん) 株式会社ウィルPMインターナショナル 代表取締役社長兼最高経営責任者
石田 淳

 米国のビジネス界で大きな成果を上げる行動分析を基にしたマネジメント手法を日本人に適したものに独自の手法でアレンジ。「行動科学マネジメント」として確立。その実績が認められ、日本で初めて組織行動の安全保持を目的として設立された社団法人組織行動セーフティマネジメント協会代表理事に就任。グローバル時代に必須のリスクマネジメントやコンプライアンスにも有効な手法と注目され、講演・セミナーなどを精力的に行う。趣味はトライアスロン&マラソン。2012年4月には、世界一過酷なマラソンといわれるサハラ砂漠250kmマラソン、2013年11月に南極100kmマラソン&トライアスロンともに完走を果たす。著書に、『短期間で社員が育つ「行動の教科書」』(ダイヤモンド社)、『40歳を過ぎても「会社に必要とされる人」でいるための学ぶ技術』(日経BP)など多数。

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