結局のところ、ただ「ルールを守れ」と言うだけでは無理なのです。面倒な行動はできる限り省こうとするのが人間です。意志に期待せず、仕組みをつくるしかありません。

 この会社では、トラックの荷台にカメラを設置することで、荷積みの様子を本部の社員がチェックできるようにしました。そして、違反があれば、その段階ですぐにやり直しの指示を出します。

 このことで、多くのドライバーは、「やり直すくらいなら最初からきちんと積んだ方が効率的だ」と理解したようです。

 一方で、ルールを守って出発したドライバーのスマホには、そのたびに経営者から感謝と激励のメールを入れるようにしました。

 これを毎日、繰り返しているうちに、ドライバーたちの間で、安全を確保するための行動がすっかり習慣になったといいます。

 早く出発したいドライバーにとって、ルール通りに荷物を積む時間はまどろっこしいものでしょう。忙しい経営者にとって、メールを打つ時間はばかになりません。しかし、それは効率化してはいけない部分なのです。

参考書籍:
40歳を過ぎても「会社に必要とされる人」でいるための学ぶ技術
石田 淳 著 / 日経BP社

石田 淳(いしだ・じゅん) 株式会社ウィルPMインターナショナル 代表取締役社長兼最高経営責任者
石田 淳

 米国のビジネス界で大きな成果を上げる行動分析を基にしたマネジメント手法を日本人に適したものに独自の手法でアレンジ。「行動科学マネジメント」として確立。その実績が認められ、日本で初めて組織行動の安全保持を目的として設立された社団法人組織行動セーフティマネジメント協会代表理事に就任。グローバル時代に必須のリスクマネジメントやコンプライアンスにも有効な手法と注目され、講演・セミナーなどを精力的に行う。趣味はトライアスロン&マラソン。2012年4月には、世界一過酷なマラソンといわれるサハラ砂漠250kmマラソン、2013年11月に南極100kmマラソン&トライアスロンともに完走を果たす。著書に、『短期間で社員が育つ「行動の教科書」』(ダイヤモンド社)、『40歳を過ぎても「会社に必要とされる人」でいるための学ぶ技術』(日経BP)など多数。

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※筆者の会社名および役職は執筆当時のものです。