いまでも、「部下は叱ってこそ伸びる」という主張をしている人を見かけます。おそらく彼らは、「叱っているこちらの愛情を部下はわかってくれるはずだ」という期待感を持っているのでしょう。

 しかし、本質的に人は叱られることは好きではありません。表面では「ご指導ありがとうございます」と言ったとしても、内心は反発を感じているかもしれません。

 そのため、叱ることで「わかってもらえた」という上司の期待は、裏切られることが多いのです。そして、さらに「なんで、わからないんだ」となっていく……。私には、このやり方は賢いものとは思えません。

 同様に、部下を褒めることに疲れてしまっている上司は、「褒めているこちらの愛情をわかってくれ」と期待し過ぎているのではありませんか? どこかで、「こんなに褒めてやっているのに、その反応かよ」とがっかりしているのではないかと思うのです。

 「よけいなことを期待しないように」と言えば、あまりにもドライに聞こえるかもしれませんが、もともと他人の心などどうこうできるものではありません。部下があなたの指導にどれくらい感謝しているかとか、部下が褒められたことをどれくらい喜んでいるかといったことに考えをめぐらせることはやめておきましょう。

 それよりも行動を見てください。あなたが褒めたことで部下の望ましい行動が増えたなら、確実に「褒めた効果」が出ているということです。

石田 淳(いしだ・じゅん) 株式会社ウィルPMインターナショナル 代表取締役社長兼最高経営責任者
石田 淳

 米国のビジネス界で大きな成果を上げる行動分析を基にしたマネジメント手法を日本人に適したものに独自の手法でアレンジ。「行動科学マネジメント」として確立。その実績が認められ、日本で初めて組織行動の安全保持を目的として設立された社団法人組織行動セーフティマネジメント協会代表理事に就任。グローバル時代に必須のリスクマネジメントやコンプライアンスにも有効な手法と注目され、講演・セミナーなどを精力的に行う。趣味はトライアスロン&マラソン。2012年4月には、世界一過酷なマラソンといわれるサハラ砂漠250kmマラソン、2013年11月に南極100kmマラソン&トライアスロンともに完走を果たす。著書に、『短期間で社員が育つ「行動の教科書」』(ダイヤモンド社)、『40歳を過ぎても「会社に必要とされる人」でいるための学ぶ技術』(日経BP)など多数。

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