石田 淳
株式会社ウィルPMインターナショナル 代表取締役社長兼最高経営責任者

 50代より上のサラリーマンは、多くが昇給や地位に対する強い執着を持っています。ほかの人よりも偉くなって、ほかの人よりもたくさん稼ぐということが、彼らの大きなモチベーションになっているのです。そして、今の課長世代までは、その感覚が理解できると思います。

 しかし、20代はそうではありません。今の若者たちは「出世して責任が重くなるくらいなら平社員のままでいい」と口にする人もいるように、まったく欲がないのです。

 そんな若い部下たちに対して、ある課長が本気で嘆いていました。 「彼らはまだ若いからのんきなことを言っていられても、将来はどうするつもりなんでしょう。心配にならないんですかね。見通しが甘いんですよ」

 私は最初こそうなずいていたものの、だんだん新しい不安に襲われてきたのです。「いや待てよ。本当に心配しなければならないのは課長自身なんじゃないか」と。

 今の20代は、「維持費がもったいないから車は持たない」などと夢のないことを平気で言います。そういう男性を「この人は堅実でいい」と女性は評価します。彼らは、男女そろって大変な現実主義者なのです。

 一方、課長世代は「できればかっこいい外車に乗りたい」などと、懐具合と関係なく考えます。実際に、無理なローンを組んで買ってしまう人もいます。さて、「見通しが甘い」のはどちらの方なのか。課長世代であることは明らかです。

 こんな課長世代を対象とした講演会やセミナーで、あくまで余談としてですが、「自分の老後についてどのくらい意識しているか」と参加者に聞いてみることがあります。

 本来のテーマである「課長の仕事」に関しての質問だったら活発な意見が出されるのですが、老後となると、ほぼ「反応ゼロ」です。これが現実主義者の20代だったら、かなり大きな反応があるのではないかと思います。

 もちろん、課長世代も、「自分たちの頃には年金なんてあてにできない」とか、「定年まで勤めても老後資金は足りない」といったことはわかっています。わかっているけれど、そこで思考停止しているようなのです。
「まあ、なんとかなるでしょう」
「考えてみてもどうしようもないですし」

 非常に重大な問題について、このように曖昧にしておける課長世代を、20代の若者は驚愕して見ているのかもしれません。