休職期間や復帰に必要な流れをしっかり共有

 対策としては、まず本人と、早めに休職期間と職場復帰時に必要な流れを共有していくことが必要です。復帰に必要な流れとは、例えば最低2週間は就労を想定した生活リズムを維持し、通勤訓練を行う、活動記録表を記載するなどです。

 主治医とも早めに本人を通して共有したいところです。しかし主治医との短い診察時間のなかで、症状や日常会話はしていても、肝心の会社の休職期間や復帰に必要な流れを話せていない休職者が多く見られます。診療中にすべて話すのが難しければ、産業医を通して主治医に診療情報提供依頼書を送り、主治医と職務内容や職場状況を共有し連携できる状況を作っておくことも有効です。そうした対策をなるべく早い段階から考えておくとよいでしょう。

 休職者は以前にも欠勤や遅刻が続いていた期間があることも少なくありません。所属部署だけで抱え込まず人事と早めに連携できる流れを作り、一定期間の欠勤や遅刻などがあれば受診を促すこと、産業医による体調確認面談を構えすぎずに設定できる雰囲気作りもできるとよいと思います。早期発見、早期治療、早期の介入、休職判断が結果として早めの回復につながる可能性は大いにあります。

 また休職期間が短いと、困難事例が発生した際に例外を作りがちです。期間設定の曖昧な例外措置としての休職延長などは、さらなる混乱を招くことも多いのです。自社の就業規則や休職・復職規定をもう一度確認し、必要な見直しを行い、いったん決めたらそれにのっとり毅然とした対応をしていく構えも必要です。

就業規則上の規定整備のポイント

 最後に就業規則上の規定整備のポイントを挙げます。

早期発見、早期介入のために
■就業規則に受診義務(会社の指定する産業医もしくは専門医)、診察結果の会社への情報提供に同意する規定を置く
■休職要件である欠勤の通算規定を置く
■「業務外の疾病等により業務の遂行に支障があり休職するのが相当と認められる場合」を休職発令の事由として規定する

早すぎる職場復帰→再休職のリスクを避けるために
■復職の際には『会社が指定する医師』もしくは『産業医』との面談を行い、その意見も考慮する旨の規定を入れる
■軽減業務期間を設ける(期限設定も同時に必要)

 次回は休職期間が長い場合に起こりやすい問題点を挙げ、その対策を考えてみたいと思います。

筆者:石橋 裕美子
フェミナス産業医事務所 産業医
監修:石井 りな
フェミナス産業医・労働衛生コンサルタント事務所、(株)プロヘルス代表
石井 りな(いしい・りな) 精神科専門医、産業医 / フェミナス産業医事務所、株式会社プロヘルス 代表
石井 りな

 千葉大学医学部卒。総合病院にて研修後、精神科病院や精神科クリニックに勤務。並行してうつ病リワーク施設や企業向けメンタルヘルス支援機関を経験。精神分析・力動的精神療法、認知行動療法などの精神療法も学ぶ。診療や企業での経験を通じて、従業員の健康対策は企業の生産性を高めるうえで必要不可欠だと確信。「健やかに活き活きと仕事に挑戦し続けられる社会」を目指し、精神科産業医の立場から企業を支援したいと思い、女性医師を中心にフェミナス産業医事務所を設立。現在、多くの企業で産業医として活動する傍ら、大学で費用対効果の高いメンタルヘルス対策についての研究も行っている。
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※筆者の会社名および役職は執筆当時のものです。