今回のケースのように、労働者本人と会社の復職に対する認識のギャップを埋めたり、復職期限間際のトラブルを予防するために、復職を許可するプロセスに関する説明資料を事前に用意し、できれば休職開始時に本人へ口頭で説明したうえで渡しておくことをお勧めします。

 説明資料の中には次の内容も含まれているとより好ましいです。

・復職を検討する過程で、本人と産業医との面接を設定。産業医の意見を会社が聴取し、復職判断の参考にすること

・休職中、産業医面接の機会は原則月1回であること(会社の契約状況に応じて、臨時対応可能ならその旨も)

・産業医面接の際に必要な資料について(最低2週間分の生活リズム表、主治医診断書など)

 なかには、休職開始時は病状から思考力が低下していて説明が頭に入らない、書類の管理ができず紛失してしまうケースもあります。病状が安定に向かっていたり、復職を考え始めた様子が伺えたら、改めて資料を提供し説明を加えるとより効果的です。

石井 りな(いしい・りな) 精神科専門医、産業医 / フェミナス産業医事務所、株式会社プロヘルス 代表
石井 りな

 千葉大学医学部卒。総合病院にて研修後、精神科病院や精神科クリニックに勤務。並行してうつ病リワーク施設や企業向けメンタルヘルス支援機関を経験。精神分析・力動的精神療法、認知行動療法などの精神療法も学ぶ。診療や企業での経験を通じて、従業員の健康対策は企業の生産性を高めるうえで必要不可欠だと確信。「健やかに活き活きと仕事に挑戦し続けられる社会」を目指し、精神科産業医の立場から企業を支援したいと思い、女性医師を中心にフェミナス産業医事務所を設立。現在、多くの企業で産業医として活動する傍ら、大学で費用対効果の高いメンタルヘルス対策についての研究も行っている。
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フェミナス産業医事務所

※筆者の会社名および役職は執筆当時のものです。