石井 りな
フェミナス産業医・労働衛生コンサルタント事務所、(株)プロヘルス代表

 メンタルヘルス対策の一環でストレスケア面接をしていると、職場環境や他者の対応に課題を見いだし、ストレス排除のために、その課題の改善や配慮を求めるものが多くなっています。本人が求める配慮の実現が、本当にストレスケアとして役立つのか疑問に感じることがあります。会社も本人も主治医も産業医も、安全配慮義務や健康障害を恐れるあまり、辛いこと・大変なこと・苦手なことなどを本人から排除していこうとする姿勢が目立ち、自分自身の中にある課題を見つけ、ストレス耐性を高めるために改善していこうと手立てを相談にくるケースは残念ながら多くありません。

 最近、とある会社で同じ部署、同じ仕事環境で仕事をされている複数の方と面談をする機会がありましたので紹介します。同じような環境・境遇で働いているにもかかわらず、一方はストレスチェックで高ストレス者の判定、もう一方は、高ストレスではありませんでした。ストレスを感じる人、感じない人の間にはどういった違いがあるのでしょう? 今回見られた違いは、高ストレス者と、非高ストレス者の違いとしてよく経験する部分と一致していました(人物や設定などは、趣旨を変えない範囲で改変してあり、実例そのものとは異なります)。

ストレスチェックで高ストレスであったというAさん

 話を聞いてみると、多忙な部署の中で、特に自分だけ仕事量が多いと感じているそうです。仕事のできない人にはあまり仕事が回らないので、自分が忙しくしている時に別の人は暇を持て余しているように見えて、納得がいかないと言います。モチベーションも低下気味。現在の職務は顧客対応が多く、無理難題を言ってくるクライアントがいて、それに応えられないから、ストレスが高く自分には向いていないと言います。さらに、最近、組織変更で上司や体制が変わり、上司とさらにその上の部長との関係がうまくいっていなくて気をもんでいる。現場を理解していない上司からの指示で振り回されていると言います。仕事量を見直してバランス良くしてほしい、ストレスを軽減するために担当先あるいは部署を変更してほしい、などが求めている内容でした。

健診有所見として面談になったBさん

 BさんはAさんと同じ部署で、ほぼ同様の職務を担当しています。しかし、Bさんのストレスチェックは、非高ストレスでした。話を聞いてみると、Bさんは、自分だけではなくチーム全体としての仕事量がかなり多いことを挙げ、他のチームメンバーも体調を崩さないか心配だと言います。現在の職務は、顧客対応の部分が特に大変だが、苦悩することがあっても経験していく中で対応スキルが向上していく自分の成長を感じることができ、充実感がある。上司や組織の変更はあったが、プレッシャーも変化もない仕事などないと考えている、チームで話し合いながら足並みを揃えていきたいと話します。自分の趣味は旅行で、繁忙期はなかなか行けないが、ちょっとした休み時間にスマホやPCで行きたい場所を眺めたり、次の計画を考えたりすることで、気分転換になり次に向けてがんばるぞと思えると、リフレッシュのコツも楽しそうに話していました。