石井 りな
精神科専門医、産業医/フェミナス産業医・労働衛生コンサルタント事務所、(株)プロヘルス代表

 先月は連載をお休みしてしまい、大変申し訳ありませんでした。実は、フェミナス産業医事務所の関連施設として開設する「九段下駅前ココクリニック」(http://kudanshita.clinic/)の開業準備に追われていました。今回立ち上げたクリニックは、産業医として活動している中で感じた課題を、少しでも解決していきたいと考え、それを形にしたものです。

 私自身はもともと、臨床に身を置きながら、「診察室の中だけでは患者さんが人生の大半を過ごす職場には目が届かない」と思い立ち、病院から飛び出して働く現場、企業に出向く産業医を始めました。もちろん、産業医として企業の中に入ったことで、メンタル不調への早期介入、失敗しない復職支援、人事が健康問題に翻弄されない社内ルールの策定など、その効果を感じることはたくさんありました。

3つの課題を解決する役割を担う

 一方で、嘱託産業医として以下の3つ課題を感じていました。①過重労働面談やストレスチェック制度の高ストレス者面談、②健康診断で異常を指摘された人のフォロー、③主治医と産業医の機能的な連携――。これらの課題を解決していくために、構想し誕生したのが九段下駅前ココクリニックなのです。

 まず、①の面談について説明しましょう。企業内での産業医の認知度が上がるにつれ、訪問時に行う面談も増加傾向となり、2〜3時間の訪問では不足する場合がでてきます。そうすると、面談時間が短くなる、あるいは、必要な面談を適切なタイミングで行えないといった懸念が生まれてきました。

 かといって、追加訪問は医師を半日拘束するため、それなりにコストがかかる上に日程が限られてしまいます。事務所の方で追加の面談を実施していましたが、もっと随時来所(来院)型で実施できるような拠点があれば、従業員にとっても人事にとっても利用しやすくなります。

 また、ストレスチェック制度による高ストレス者面談は、周囲に知られないよう実施したい、企業内ではなく企業外で行ってほしいというニーズも見られるようになりました。そこで、九段下駅前ココクリニックでは「産業保健外来」を設け、産業医契約をしている企業を中心に、産業医訪問では実施しきれない「過重労働面談」や「高ストレス者面談」を随時行っていきます。