石井 りな
精神科専門医、産業医/フェミナス産業医・労働衛生コンサルタント事務所、(株)プロヘルス代表

 ストレスチェック制度の施行は昨年12月からですが、6月以降になって実施する企業が増えてきました。高ストレス者への面接指導も始まっています。慎重に様子を見ていた企業も、この時期にきて、ストレスチェック実施に本腰を入れて準備に取りかかり、実施者や面接担当医師となる産業医も大忙しです。

 この記事を読みながら、「うちはまだ何も……」というところは、急ぎましょう。そろそろ利用するサービスや実施者を決定し、審議や社内規程の作成に取りかからないと、11月末までの実施完了に間に合いません。多くの企業が準備から検査開始まで最低1カ月を要しています。少なくとも9月末には委託先を決めて準備を本格的に始めてください。

 準備を進めていく中で毎回、各企業で産業医が実施者(共同実施者含む)になるかならないかが悩みどころになります。弊所では、実施者を含めたストレスチェックサービスを、産業医として契約している企業限定で提供しているので問題にならないのですが、システムだけ他社サービスを利用して、実施者サービスが付いていない場合、誰が実施者になるかが課題になります。

ストレスチェック実施者をどう選ぶか

 「産業医」と「システム」がそれぞれ別の外部機関に所属していると、連携や協力が難しいのも事実で、最近では弊所のように実施者付きのサービスも目にします。

 実施者はストレスチェックサービス提供機関の専門家に委託し、産業医は「面接担当医」としてのみ役割を果たすのも一つの方法です。嘱託産業医という限られた訪問時間の中だけで行うのであれば、実施者まで担うことは正直難しい現実もあります。

 いまだによくある誤解は「産業医が実施者(共同実施者含む)にならないと、高ストレス者への面接ができないのでは?」ということ。ストレスチェックサービス提供機関に実施者を依頼し、産業医が共同実施者でなくても、産業医は面接を担当できます。守秘義務範囲の拡大(罰則あり)、訴訟リスクの増大、医賠責の保障対象外になる可能性が高いといった背景もあり、たとえ今までと同じ訪問時間や業務時間であっても、安請け合いはできず、実施者の引き受けに躊躇する医師も多くいます(こういった事情から実施者を引き受ける場合の相場について、某医師会では「実施者:20万円〜」と案内しています)。