<ここまでの整理をもとに、冒頭の事例を解説します>

A)人事権をもつ管理監督者まで、一律に人事部内で産業医面談の結果を回覧している

 どのような面談(面接指導)結果かにもよりますが、「人事に関して直接の権限を持つ監督的地位にある者」が一律に回覧するのは適切とは言えません。面接指導の結果は、健康情報の分類の②あるいは③に該当するため、産業保健業務従事者あるいは予め定めた担当者が扱うのが適当です。人事権を持つ人へ伝える時は情報を加工し、目的達成(就業上の配慮など)のために必要な情報に限りましょう。例えば、面接指導の結果全体ではなく、必要な事後措置に関してのみ、医師から聴取した意見内容であれば問題ないと言えます。

B)診断書や健診結果はプライバシー保護のため、医療スタッフしか扱えない。人事労務スタッフはノータッチ

 本来、人事へ伝えるべき情報が伝わらない危険があります。健康情報すべてを共有しないのではなく、健康情報を3つの分類に分けて考え、法令上把握しておくべき情報や、就業上の措置に関する情報はぜひ共有しましょう。

C)健診結果は個人情報なので会社では収集・保管せず、健診機関が保管している

 健診結果(法定項目)は、法令により事業者が情報を収集する必要がありますので、健診機関で保存するのみでは不十分です。しかし、必ずしも事業者が直接取り扱う必要のない情報であるため、取り扱う担当者を定めて保管し、事後措置に活用しましょう。

D)健診結果は、健診機関で健診を受ける際に社員の同意が得られた場合のみ保管している

 法定項目の健診結果は労働者の同意なしに情報収集が可能です。人間ドックやがん検診などの法定外項目は例外を除き、利用目的や取扱方法を明示したうえで、労働者の同意を得る必要があります。

E)産業医面談の結果を、社員の上司に見せている

 まず、面接指導の目的と結果を明確にして、健康情報の3つの分類のどれに該当するか確認しましょう。就業上の措置が必要であるとの意見が出た場合には、取り扱い担当者が加工した情報を管理監督者(上司)や人事部門の長などへ共有します。A)と同様に面接指導の記録そのものを見せてしまうのは不適切です。