石井 りな
精神科専門医、産業医/フェミナス産業医・労働衛生コンサルタント事務所、(株)プロヘルス代表

 いよいよ改正労働安全衛生法に基づくストレスチェック制度の施行まで、残すところ1カ月あまりとなりました。ただし、2015年12月に入ってすぐに実施しなければならないのではなく、来年2016年11月末までにチェック自体を実施完了できれば差し支えないので、そのつもりで準備を進めて下さい。

 さて、産業医事務所、EAP(従業員支援プログラム)、健保組合、ストレスチェック業者などなど、様々なところが実施するストレスチェックサービスを比較するにあたり、「費用」が気になるのではないでしょうか?「1検査ワンコイン」、つまり500円と低価格のものや、最も安いと300円などというところまであります。

 しかし、低価格を前面に出している検査には、「安い理由」があります。それだけでは法に基づくストレスチェック制度に対応しきれていないことが多いのです。この連載を読んでいただいている読者の皆様は、表面上の価格に惑わされず、ストレスチェックサービスを見極めてください。そこで今回は、「ストレスチェックにかかわる費用」について詳しく解説します。

分析からデータ保存の費用まで

 基本的に、ストレスチェックの費用には、以下を含めて考えなくてはなりません。

  1. ①検査費用(ウェブ、紙実施)
  2. ②集団分析費用(部署ごとの分析や経年変化比較などができるのか?)
  3. ③実施者業務費用(実施責任、高ストレス者の選定、面接指導対象者の判定、結果保存など)
  4. ④データ保存管理費用(誰が、どこに、結果データを保存するのか?)
  5. ⑤医師の面接指導
  6. ⑥外部相談窓口費用
  7. ※②と⑥は努力義務

 低価格のストレスチェック検査は①のみの場合が多く、ツールの提供のみで、実施責任は負わないような仕組みになっているところがほとんどです。ストレスチェックを個人が受検し、個人結果を各受検者へ提供するところまでは含まれていても、部署別など集団分析が有料オプションになっていて、実際の対策を行うために有用な情報を得るためには、追加費用を請求される場合も少なくないようです。

 ほかに多いのは、実施者が不在で、その業務は自社が契約している産業医へ別に頼まないといけないケースです。この場合、産業医へ実施者費用を別途支払うことになるのが一般的です。また、全体の結果が数値データ一覧表のみで提供され、わかりづらいもの、経年変化が一目ではわからないものもあります。データの保存管理がプランに含まれていない場合には、提供されたエクセルデータを各企業で、あるいは実施者である自社の産業医のところで、保存管理しないといけません。