2030年の世界地図帳 あたらしい経済とSDGs、未来への展望
2030年の世界地図帳 あたらしい経済とSDGs、未来への展望
落合 陽一 著 / SBクリエイティブ / 1,650円(税込) / 352ページ

 「10年後はどんな社会になっているか?」「10年後の我々の会社はどのように変化しているか?」

 これは、私が担当するリーダー育成プログラムの初回ワークショップで投げかける質問である。最初は皆「そんなこと考えたこともない……」という反応をする人が多い。だが、10年前にはどんなことが起こったかを当時のニュースやデータで示し、どんな働き方をしていたか、どんなツールを使っていたかを思い出すと分かりやすい。例えば、日本でiPhoneが発売されたのは2008年夏である。11年経った2019年時点の「情報通信白書」によると、スマートフォンの保有率はすでに79.2%にもなっている(詳しくはこちら)。

 このように社会状況そのものや働くために必要なツールやインフラが激しく変化しているなか、私たちの会社組織、リーダーシップの発揮の仕方やマネジメントスタイルはどう変化していくのかを考えるのがワークショップのカギとなる。10年は長いように感じられるが、そんなことはない。人生100年時代とも言われ「70歳定年導入」が検討されている今、10年を一つのベンチマークとして捉える視点は組織のリーダーに必要である。

 2030年、日本は国民の3分の1近くを65歳以上が占める国になる。これは、私たちが働く組織の構成に大きく影響することは明白である。これもたった10年後に起こる確実な未来だ。この2030年を達成目標としている世界的な指標がSDGs(Sustainable Development Goals:持続可能な開発目標)である。SDGsは、貧困、環境、労働問題まで17のゴールが掲げられている。このSDGsの策定や運用には産業界も関わっていることが特徴の一つであり、多くの企業が少しずつではあるが自社の経済活動と目標にリンクさせる動きを見せている。

 現在SDGsは日本の企業で語られることはまだ少なく、人事や人的資源を語る際に話題になることも少ない。しかし、10年後も社会の中で働き、活動することを視野に入れている人であれば、ぜひ本書を一度手にして10年後の世界を考えるきっかけをつかんでほしい。現在と10年後、今いるところと世界で起きていること、そして今日本で起きていることを改めて俯瞰してみるきっかけとなる。

 最初は傍観したとしても、自分の興味や仕事を起点に、共感をつかむ糸口になるだろう。2020年に人事や人材育成担当者が未来に向けて何ができるか、どんなメッセージを社員や関係者と共有できるかを考えるためにも手に取っていただきたきたい一冊である。

参考書籍

日本再興戦略
落合 陽一 著 / 幻冬舎 / 1,540円(税込) / 254ページ

池照 佳代(いけてる・かよ) 株式会社アイズプラス 代表取締役
池照 佳代

 約14年間、マスターフーズリミテッド、フォードジャパン、アディダスジャパン、ファイザー等で一貫して人事を担当。2006年法政大学経営大学院在学中に同社を設立。人材・組織開発コンサルタントとして、企業向けに人材採用・教育、人事制度設計支援・コンサルティング、ダイバーシティ・女性活躍推進施策企画、エグゼクティブコーチング、EQ(感情知性)開発支援を提供している。加えて、NPO法人キーパーソン21(キャリア教育の全国普及)理事、NPO法人IC(インディペンデントコントラクター)協会理事として活動。キャリア、働き方、起業支援や講演も多数。CDA(キャリアデベロプメントアドバイザー)、EQGA公認トレーナー。SEI EQプラクティショナー・アセッサー(国際認定資格)。The Bob Pike Groupプロフェッショナルトレーナー。
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※筆者の会社名および役職は執筆当時のものです。