池照 佳代
アイズプラス 代表取締役

世界の最も野心的なビジネスエリートがしている 一流の頭脳の磨き方
世界の最も野心的なビジネスエリートがしている 一流の頭脳の磨き方
山崎裕二、岡田美紀子 著 / ダイヤモンド社 / 1,512円(税込)/ 224ページ

 「やはりグローバル企業で活躍したいと思ったらMBAには行った方がいいですよね」、こんな質問をよく受ける。私自身が数社のグローバル企業で採用を含む人事職に携わってきた経験があることから、研修の受講者などからよく聞かれる質問のひとつである。

 「必須ではないがあった方がいいと思う」と正直に答える。「何より、本人が必要性を感じるかどうか?」と再度問い直させていただいている。社会に出てからの学び方には正解がなく、自らの置かれている状況や今後のキャリア展望によって道はいく通りもある。MBAそのものに関しても様々な受講の形がでてきており多様化している。そのひとつが、今回本書が紹介している「エグゼクティブMBA」である。

 著者の日本人2人は、実際にこの「E-MBA」の同窓生である。いわゆる世界中の第一線で活躍するビジネスエリートをターゲットにされたこのコースは、世界16以上から人種も経験も多様な、世界中でおそらくトップクラスの多忙なビジネスパーソンが集まっている。「集中的に学び、また現場に戻り実践で試す」このサイクルを繰り返しながら、1〜2年かけてパートタイムのスクーリングで学んでいるそうである。本書は、このプログラムに参加した著者らの気づきや学んだことを、世界中から集まったビジネスパーソンらの豊富な事例とともに紹介した一冊である。

 何より感じとれるのは、世界のトップクラスエリートたちの「学びの質と量」の圧倒的な違いである。この「学び」が一般的にあるような英語やITといった「知識」の枠におさまらず、ビジネスをする「人」を高める本質的な「人格」や「判断力」を磨き、そしてそれらをベースに「行動のスピードと質を上げる」ことに集約されていることが読み取れる。著者らは、実際にこのプログラムに身を置き、世界中のクラスメイトとの対話や議論の中から時に少しびっくりするような気づきを得、そして学びに転換している様が興味深い。

 このプログラムの特徴のひとつは、“学びながら「クラス」でビジネスを進める”ことと紹介されている。本書には、実際にこのサイクルから自身のビジネスをこの2年間の学びのうちに変えたり、新たなビジネスチャンスに挑戦しているクラスメイトの実話が多く紹介されている。このスピード感は、なかなか日本のMBAでは見られないもののように感じる。余談として紹介されているが、このようなコースの世界ランキングというのは、「コース参加前と参加後でどのくらい収入が変わったか」で順位付けされているそうである。

 MBAの用語や解説がされている書籍ではなく、彼らが学んだ「世界トップクラスの学び方」の体験を共有できる良書である。「学び方」を模索するビジネスパーソンに、ぜひ一読をお勧めしたい。

参考書籍

『仕事が速い人は「見えないところ」で何をしているのか?』
木部 智之 著 / KADOKAWA / 1,404円(税込) / 224ページ

池照 佳代(いけてる・かよ) 株式会社アイズプラス 代表取締役
池照 佳代

 約14年間、マスターフーズリミテッド、フォードジャパン、アディダスジャパン、ファイザー等で一貫して人事を担当。2006年法政大学経営大学院在学中に同社を設立。人材・組織開発コンサルタントとして、企業向けに人材採用・教育、人事制度設計支援・コンサルティング、ダイバーシティ・女性活躍推進施策企画、エグゼクティブコーチング、EQ(感情知性)開発支援を提供している。加えて、NPO法人キーパーソン21(キャリア教育の全国普及)理事、NPO法人IC(インディペンデントコントラクター)協会理事として活動。キャリア、働き方、起業支援や講演も多数。CDA(キャリアデベロプメントアドバイザー)、EQGA公認トレーナー。SEI EQプラクティショナー・アセッサー(国際認定資格)。The Bob Pike Groupプロフェッショナルトレーナー。
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●ブログ http://isplus1.hatenablog.com/
●フェイスブック @iketeruisplus

※筆者の会社名および役職は執筆当時のものです。