池照 佳代
アイズプラス 代表取締役

いばる上司はいずれ終わる――世界に通じる「謙虚のリーダー学」入門
いばる上司はいずれ終わる――世界に通じる「謙虚のリーダー学」入門
鳥居正男 著 / プレジデント社 / 1,512円(税込) / 192ページ

 筆者は、4つの企業、計45年を外資系企業で働き、うち23年以上を日本法人の社長としての経歴を持つ。これだけ聞けば、いわゆる「バリバリの外資系人間」であり、英語ペラペラ、なんでも結果主義、きっと自分さえよければと考えている、などの印象を持つ人もいるかもしれない。外資系企業のイメージは、接点が少ない人にとってはまだまだ近寄りがたく、我々日本人の感覚とは違うものという印象が強いようだ。

 “グローバルな環境で求められるのは傲慢ではなく、謙虚さ”であり、私たちがもつ“「日本人らしさ」こそが、グローバル競争を生き抜く鍵である”、と著者は述べている。バリバリの外資系45年の経験から、著者が感じ、学び、実践してきた結果である。

 1つの例として、「グローバル人材」と聞いておそらく最初に思い浮かべるであろう「英語」についての示唆がある。発信に際しては、問われるのは「英語力」より「内容」であるという点。ペラペラであることよりも「自分の主張が相手に伝わるか」が目的であり、英語はあくまで伝えるための手段である。

 当たり前といえば当たり前だが、企業での英語研修もほとんどが「英語力の向上」に焦点を当てているものが多いなか、これは企業で教育を担当する方には再度見直しができるポイントであり、本書の示唆を参考にすれば、学ぶ順番を再考すべきであろう。

 グローバルビジネスにおいて様々な国の人々と意見や議論を交わすには、まず自分の主張を論理的かつシンプルに整理し、そのうえで、英語で発信することが必要ということだ。英語力の向上ももちろんするに越したことはないが、内容の確立よりも英語力のみの向上がねらいとなっていればもったいないということだ。そして、英語でも日本語でも、積極的かつ謙虚な姿勢が大切である。

 本書を手に取り読み進めながら、非常に僭越ながら多くの点で共感し、うなずき、すべてのビジネスパーソン、そして個人的なつながりではあるが悩んでいる知人に紹介したくなった。

 実は私自身が5回の転職を経験しており、うち4社が外資系企業である。無論、著者の豊富かつ幅広い経験には及ばないが、“ヒトとヒトが仕事をするうえで大切なことは、企業の国籍を問わず共通する基本がある”ことにまず強く共感した。私たちが文化のなかで大切にしてきた謙虚さ、質素さ、勤勉さなどをあらためて大切な価値観として見直しビジネスの現場でもいかすことに自信をもってよいと、本書は私たちの背中を押してくれる。

 グローバルビジネスで戦えるのは、どこかの国のやり方に近づけることがキーなのではなく、自分たちの強みをいかし、一歩歩み寄って互いの理解を深めること、そんなことを教えていただいた。皆さんにお薦めする一冊である。

参考書籍

『ファーストクラスに乗る人が大切にする51の習慣』
毛利仁美 著 / プレジデント社 / 1,512円(税込) / 192ページ

池照 佳代(いけてる・かよ) 株式会社アイズプラス 代表取締役
池照 佳代

 約14年間、マスターフーズリミテッド、フォードジャパン、アディダスジャパン、ファイザー等で一貫して人事を担当。2006年法政大学経営大学院在学中に同社を設立。人材・組織開発コンサルタントとして、企業向けに人材採用・教育、人事制度設計支援・コンサルティング、ダイバーシティ・女性活躍推進施策企画、エグゼクティブコーチング、EQ(感情知性)開発支援を提供している。加えて、NPO法人キーパーソン21(キャリア教育の全国普及)理事、NPO法人IC(インディペンデントコントラクター)協会理事として活動。キャリア、働き方、起業支援や講演も多数。CDA(キャリアデベロプメントアドバイザー)、EQGA公認トレーナー。SEI EQプラクティショナー・アセッサー(国際認定資格)。The Bob Pike Groupプロフェッショナルトレーナー。
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※筆者の会社名および役職は執筆当時のものです。