中村文子
ダイナミックヒューマンキャピタル代表取締役

 そろそろ新入社員研修を企画している方も多いかと思いますので、新入社員について2つの面から考察したいと思います。

 1つ目が、KSAの何を教えるのかという面です。KSAとは、K(Knowledge 知識)、S(スキル)、A(Attitude 態度・姿勢)というインストラクショナルデザインによく用いられるフレームワークです。まず簡単にKSAとは何かを整理しておきましょう。

 車の運転に例えて考えると以下のようになります。車を運転する、ということを習得する際に、学ぶべきKとは…
・車の基本構造/標識/交通ルール
などが代表的なものです。実際に車を運転してみる前に、予備知識として習得しておく必要があります。

 それに対して、Sとはスキルですので、実際に体を動かして「できる」ようになる必要があることです。
・エンジンをかける/前進する/後進する/停車する/駐車する/曲がる/高速道路で走行する
などなど…。これはスキルですので、練習して、できるようになる必要があるものです。

 Aとは、態度や姿勢、心がけ、などが入りますので、
・常に安全運転を心がける/譲る気持ちを持つ/危険を予測しながら運転する
などでしょうか。知識とスキルがあっても、これが欠けていると大変なことになる危険性があります。

 以上のことを前提にして、研修で何をどのように教えるかをデザインしていくわけです。例えば、新入社員研修で、電話の応対ができるようになる、という目的に対して、
・実際に電話に出る前に必要な予備知識は何か?
・実際に電話に出た際には、どういう言葉を使ってどんな対応ができる必要があるか?
・電話応対の際に心がけることは?
と分析し、習得してもらうためのコンテンツとそのプロセスをデザインしていきます。

 KSAのフレームワークが便利なのは、分類することで、研修の中でのプロセスを整理して計画しやすい点が大きいのではないでしょうか。スキル(S)は絶対に練習が必要です。スキルの練習を行うには、その前に知識の習得が必要です。知識(K)とスキルを積み重ねるだけではなく、態度・姿勢(A)をどう感じてもらうかは工夫が必要なところとなります。

 KSAはこうして客観的に書き出して、研修をデザインしていく、という使い方もあれば、何かの現象を見た時に、不足しているのはKSAのどれなのか?を判断し、不足していることをトレーニングする、もしくはコーチングする、という判断が必要、という場面も多いかと思います。

知識・スキル・態度の混同に注意

 書き出す場合は、KSAの区別はさほど難しくないと思うのですが、不足していることを見つける場合、KSAを混同してしまっているケースをよく見かけます。