クイズの出題の仕方を、〇×クイズにしたり、選択肢から正しいものを選ぶ形式にしたり、間違い探しにしたり、空欄に入る単語を予想したり、とバリエーションを設けることは、研修に変化をつけて飽きさせない工夫になります。

 また、個人ワークに加え、「話す」機会を設けるのであれば、ペア、3人、グループなど、話す相手や人数を変えることでも変化をつけることができます。

 説明の前にこうして課題に取り組んでもらうほかに、説明後に課題に取り組んでもらうことももちろん可能です。その際、自分が理解したことを自分の言葉で他の人に伝える、など、正しく理解したレベルで満足せず、アウトプットできるような課題設定にするとよいでしょう。

アクティブラーニングは講義よりも時間が必要か

 多くの方が、アクティブラーニングは講義より時間がかかると思っているようですが、決してそうとは限りませんし、むしろアクティブラーニングの方が時間の短縮ができるケースも珍しくありません。ただし、これまで講義を行っていた内容はそのまま保ち、講義後にグループディスカッションやグループワークを追加した場合は、当然「講義より時間がかかる」ということになってしまいます。

 よく見かけるパターンとして、1〜2時間の講義を行い、その後30分程度のリフレクションやディスカッションの時間を設けるという設計です。この場合、講義の時間は受け身に、講義以外の方法を用いる際には能動的・主体的に、と分けるのではなく、講義の時間も能動的・主体的になるようシームレスにデザインすることで全体の時間を短縮できます。

 例えば、説明の前に課題に取り組んでもらって解説するという流れでデザインした場合、正解率の高いところは説明を短縮し、皆が誤解していたり解けなったところを重点的に説明するなど、メリハリをつけることができます。そうすることで、説明の効率化や短縮が可能です。

 課題に取り組む過程で、参加者同士が知識を補完することも期待でき、必ずしも講師が説明しなくても学ぶことができるのです。課題解決などの手法を用いて理解を促進することにより、長い説明より短時間で理解が深まったり、長い説明なしに腑に落ちたりする効果もあります。また、シームレスにデザインすることにより、講義自体がアクティブラーニングになっているため、講義後にリフレクションの時間を別途設ける必要もない場合も多いのです。

 このような、講師や教員、インストラクターなど、教えるためのすべての人のためのノウハウをまとめた本を出版しました。ぜひこちらもご参照ください。

中村文子氏の新刊
講師・インストラクターハンドブック
中村 文子、ボブ・パイク 著 / 日本能率協会マネジメントセンター
中村 文子(なかむら・あやこ) ダイナミックヒューマンキャピタル株式会社 代表取締役
中村 文子

 大阪府出身、神戸市外国語大学 外国語学部 英米学科 卒業。マイクロソフト株式会社名古屋営業所 勤務を経て、P&Gジャパン、ヒルトン東京ベイにて人材育成・組織開発に従事。2005年より現職。2006年にASTDのカンファレンスで人材育成の世界的権威、ボブ・パイク氏のセッションに初参加、大きな衝撃を受ける。トレーナー認定のプロセスを経て、2007年秋、日本人初のトレーナーとして認定される。専門分野は、トレーナー養成、ホスピタリティ、管理職研修、ビジネスコミュニケーションスキル研修など。ホテル業界、製薬会社、電機メーカーなどの業界で、活動中。早稲田大学エクステンションセンター、日経ビジネススクール、日本能率協会にて、講師実績あり。
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