研修の成果に欠かせない
「デリバリースキル」と「インストラクショナルデザイン」

 「インストラクショナルデザイン」という言葉はご存じでしょうか。耳慣れないという方も少なくないと思いますが、研修(インストラクション)の設計(デザイン)という意味です。

 何かしらの目標・目的を達成するために研修を企画するわけですが、何を盛り込んで、どう運営してその目標・目的を達成しようとするのか、その設計がインストラクショナルデザインです。

 研修で成果を出すためには、講師のデリバリースキル(伝えるスキル)も必要ですが、インストラクショナルデザインも欠かせません。では、どちらがより重要でしょうか?

 講師のデリバリースキルが優れていると、参加者は講師の話にひきつけられ、興味を持って話を聞いてくれるでしょう。退屈するどころか、インパクトがあり、印象に残る経験になるかもしれません。いうまでもなく、デリバリースキルは、優れているに越したことはありません。卓越したデリバリースキルを持っている人は、インストラクショナルデザインが曖昧でも、なんとか乗り切れるかもしれません。

 でもそれでは、スキルを持っている一部の個人にしか研修ができないことになってしまいます。再現性もサスティナビリティもありません。継続的に人材育成を行っていかなければならない企業にとっては、特定個人のスキルに注目するよりも、研修そのものをどう組み立てるか、その方法論を蓄積することが重要ではないでしょうか。

 優れたインストラクショナルデザインが準備されていれば、デリバリースキルは平均的でも一定の成果を出すことが可能です。「段取り八分」は研修にも当てはまります。

インストラクショナルデザインをどう検討するべきか

 では、インストラクショナルデザインをどのように検討するのが効果的でしょうか。

 まず、研修に何を盛り込むか(WHAT)はもちろん大切な検討事項です。

 設定した目標・目的を達成するために、研修で扱うべきコンテンツはなんでしょうか? 与えられた時間内に、どう優先順位を付ければいいのでしょうか? 順序やかける時間のメリハリはどうすればいいのでしょうか?

 こちらが「伝えたいこと」を並べるのではなく、目標・目的を達成するために何が必要なのか、どういう参加者なのかという客観的な分析を行う必要があります。限られた時間の中で何をどういう順序で盛り込むのか、どこにどれくらい時間をかけるのか、興味を持続させるためにどんな手法を使い分けるのかなどをしっかりと計画し、研修を作りこんでおくことが大切なのです。

 さらに、どう運営するか(HOW)も大切な要素です。

◯どうやって大人である参加者に興味を持ってもらい、必要性を
 感じてもらうのか?
◯大事なことが長期記憶へ移行することを、
 どうやってサポートするのか?
◯学んだことを実践しようという気持ちになってもらうには、
 どうすればいいのか?
◯研修中、全員が主体的・積極的に学ぶ環境をどう作り出すのか?