中村文子
ダイナミックヒューマンキャピタル代表取締役

 研修を計画する時、何(What)を教えるかは入念に計画しても、どう(How)教えるかについては講師任せになっていることはありませんか?

 研修を企画する時には、普通は、目的や対象者、得たい成果を決め、それに合わせた内容や、かける時間などを検討します。担当講師は社内講師の場合も、外部の講師に依頼する場合もあるでしょう。いずれの場合でも、事務局の方は講師や研修会社と討議を重ね、期待通りの成果を出すべく準備を進めます。

 この一連のプロセスの中で、What(何を教えるか)だけではなく、How(どう教えるか)についても入念な検討をしていらっしゃるでしょうか。Howというのは、例えば以下のような面です。
●研修手法(レクチャー、グループワーク、ケーススタディなどの手法)
●参加者の参画度合やその高め方
●モチベーション高く学んでもらう工夫
●場づくりなど学習環境づくり
●講師と参加者の関係構築
などなど。

 同じ内容を取り扱う研修でも、Howが大きく異なると、全く違った雰囲気の中、参加者の受け止め方や学習の成果も大きく異なってくることが珍しくありません。

 もう10年くらい前の出来事ですが、今でも鮮明に覚えていることがあります。あるクライアントの新入社員研修の講師を担当した時のことです。その研修は、私自身が直接取引のあるクライアントではなく、ある外部組織を通して講師として出向いていました。ですので、先方の担当者とは研修の日に初対面だったという背景があります。新入社員研修ですので、社会人としての振舞いやビジネスマナーなど、内容はごく一般的なものでした。

 研修の途中で、担当者の方に、こんなことを言われました。
「先ほどの点は、もっと厳しい言い方で伝えてください」
私の研修の基本的な考えは、大人の学習の理論を大切にしているため、新入社員研修だからといって、いわゆる「ガツンと言う」というようなことは行いません。自己責任や自主性を大切にし、成功体験を積み上げることで自信をつけていただくことの方が大切だと考えています。ですので、この担当者の方のリクエストには、お応えできませんでした。しかも、研修当日のちょっとした隙間の時間にそのようなことを言われても、研修運営の根幹に関わることなのに、十分なご説明もできません。詳細は省略しますが、最終的にはご納得いただけたようでよかったのですが、私にとっては強く印象に残る経験になっています。