研修講師の養成講座でよく受ける質問の一つが、「モチベーションの低い研修参加者にどう対応するか」です。これは事務局、人材開発担当者からも聞かれることの多い質問です。

 皆さんはどう考えますか?

モチベーションは外から見えない

 まず、人のモチベーションというものは、外からは見えません。その参加者が「私はやる気がありません」と言ったのであればそうなのかもしれませんが、そうでなければ、「モチベーションが低い」というのは推測にすぎません。「やる気がなさそうに見える言動」は見ることができますが、人の内面を外から見て確認することはできないのです。

「やる気がなさそうに見える言動」とその解釈

 一般的に、研修中に「やる気がなさそうに見える言動」にはどのようなものがあるでしょうか。

●発言がない
●メモを取らない
●寝ている
●否定的な発言が多い
●ワークやディスカッションに参加しない

 確かに、どれも「やる気がなさそう」に見える言動ではあります。しかし、本当にそうでしょうか? 違った解釈をしてみましょう。

●発言がない
 じっくりと考えてから発言するタイプかもしれません。まずは自分の中で整理し、よく考えてから発言しようと思っていたら、時間きて、終了してしまった可能性はないでしょうか。こうしたことが続かないように、ディスカッションの前に個人で考える時間や、書き出す時間を設けてみてはどうでしょう。

●メモを取らない
 聞き逃すまい、とメモを取る姿は講師として安心するのは確かです。ですが、話を聞いて考察することに集中していると、同時にメモを取ることはできません。講師の言葉を書き留めることが最優先なのではなく、受け止めて理解を深め、自分の中に落としこんでいるのであれば、問題ないのではないでしょうか。

●寝ている
 疲れや体調によって、「やる気はあるし興味もあるのに、眠くてたまらない」という経験は誰しもあるのではないでしょうか。以前、ホテルで研修をした際に、夜勤明けでそのまま研修に参加していた人がいました。眠くて当然です。それは参加者のせいではなく、シフトを管理する人の責任です。まれに、体調が悪いのに無理して参加する人もいます。こうしたケースをすべて参加者の「やる気」のせいにしないようにしたいものです。

●否定的な発言が多い
 深く考えている、あるいは、現実的であるからこそ、実践を具体的にイメージできているということの表れかもしれません。きれいごとや、教科書的な発言でやり過ごせない、正直な人なのかもしれません。

●ワークやディスカッションに参加しない
 周りの参加者との関係性が影響していないでしょうか。上司や、うまくいっていない同僚が同じグループにいて、「下手な発言をしたくない」ということは起きていませんか? あるいは、ワークやディスカッションの意図や目的が不明確なため、意義を見いだせていない、ということはないでしょうか。

 このように、一見「やる気がなさそうに見える言動」でも、違った解釈も成り立ちます。講師や事務局、担当者は短絡的な評価をしないようにしたいものです。