研修を企画する立場にある皆さんは、誰の声に耳を傾けてニーズを把握したり分析したりしていますか?

 研修を行ったら対象となるであろう参加者の声でしょうか。例えば、現場のニーズをヒアリングして、現場のニーズに合った研修を企画するでしょうか。あるいは、研修に部下を送り込む上司の声を重視しているでしょうか。

 どちらもとても大切なのですが、ニーズの把握には、もう一人、大切な人がいます。それは「会社」つまり経営層の声です。

 これを3本脚の椅子に例えます。

送る人 送られる人 払う人

 椅子が椅子として成立するためには、最低3本の脚が必要です。2本では座れません。4本以上でももちろん問題ないのですが、最低3本あれば椅子として機能します。アウトドアなど地面が平らではない場所では、むしろ、4本より3本の方が安定するようです。

 研修のニーズを把握する際、「送られる人(=参加者)」、「送る人(=参加者の上司)」、そして「払う人(=会社、経営者)」、この3グループのニーズをしっかりと把握する必要があります。どれが欠けても椅子として成立しないのと同様、ニーズの把握としては足りない面があるということになります。

 まず、「送られる人(=参加者)」について。先ほども少し触れましたが、現場の声、当事者の声というのは貴重な情報です。従業員が今、何を必要としているのか把握し、それに応える研修を企画したいと思うのはとても自然なことです。一方で、当事者には見えていないニーズがあったり、当事者が感じる優先順位が、ビジネス上の優先順位と合っていなかったりする可能性もあります。

 例えば、「最近、外国人のお客様が増えているので、英語のスキルを上達させたい」というニーズを耳にするかもしれません。ですが、会社としては、従業員の英語のスキルを上達させるというより、外国語を話せる外国人スタッフの採用を検討しているのですが、そのことはまだ社内には知られていない、というようなケースです。

 「送る人(=参加者の上司)」も貴重な情報源です。人材育成は、研修だけではなく、上司の指導やOJTが大きな役割を担います。その上司と研修企画者が協力体制にあることは、前提条件だともいえます。中長期的な視点で、従業員にどんな知識やスキルを身に付けてほしいのか、研修で支援できることはなんなのか、などを上司を通して把握します。

 そして3つ目が「払う人(=会社、経営者)」です。上司よりさらに全体的な視点、長期的な視点で話を聞くことができます。会社の経営方針、ビジョン、中長期的なビジネス戦略、創りたい組織文化、求める人材像。こうした大きな視点と、一つひとつの研修の結びつきをしっかりと把握し、従業員に伝えていくことも、研修を企画する人の役割なのではないでしょうか。