9月26~28日に開催された、ボブ・パイク・グループのクリエイティブ・トレーニング・テクニック・カンファレンスに参加してきました。ボブ・パイク・グループは、ミネソタ州ミネアポリスを拠点に、人材開発・講師養成を専門とする組織で、日本ではダイナミックヒューマンキャピタル株式会社が公認ディストリビューターを務めています。

 毎年9月に開催されるこのカンファレンスでは、参加者主体の研修手法(クリエイティブ・トレーニング・テクニック)を体験しながら、研修や講師スキルについて多角的に学ぶことができます。デザイン、ファシリテーション、デリバリー、Eラーニングやモバイルラーニングなど、様々なテーマにそって40セッションほどが開催されます。約200名の参加者は大半がアメリカ国内からですが、海外からの参加者も毎年10~20名くらいはいて、今年の海外からの参加者は、日本、オーストラリア、メキシコ、オマーン、パラオ、インド、カナダでした。

 このカンファレンスの最大の特徴は、「参加者主体の研修手法」に特化していることなのですが、すべてのセッションでその手法が実践されているというのが、ほかでは見ることができない要素です。誰のどのセッションに参加しても、内容についてのレクチャーが延々と続くことは絶対になく、「参加者主体の研修手法」の概念に基づいてデザインされ、ファシリテーションされます。短時間だと伝えたいことを伝える、というレクチャー偏重になりやすい傾向がありますが、このカンファレンスではそうしたことはありません。人数が多いことや、各セッション75分という短時間であることは決して言い訳にならないのです。

 アメリカで開催されるこのような人材開発担当者向けのカンファレンスに参加するのは、約1年半ぶりでしたが、今回感じた変化の波について共有したいと思います。

 1つが、「ビジネスモデルの変化に伴う人材開発への影響」、2つ目が、「モバイルラーニングやマイクロラーニングの波」です。

ビジネスモデルの変化に伴う人材開発への影響

 IoT、AIにより、人の働き方が変わる、機械に置き換わる職業があるということが言われ始めて久しいことですが、今回いろいろな場面でそれを改めて実感しました。例えば、空港。航空会社でのチェックイン、出国・入国手続きなど、ほんの2年前までは人が行っていたことが、ほぼ機械に置き換わっていました。

 またカンファレンスの開催地ミネアポリスと、その後訪れたフェニックスでは自動車配車アプリ「Uber」の浸透が一気に進んでいる印象を受けました。街中でタクシーを見かけることはなく、ショッピングモールのタクシー乗り場は撤去され、Uber乗り場に置き換わっていました。

 この経験から感じたことは、こうしたビジネスモデルの大きな変化に伴い、人材開発も戦略的に、将来の展望をしっかりと持って行っていかなければいけない、ということです。例えば、「外国人のお客様が増えているので、従業員は語学力を高めなければいけない」と考えたとしても、テクノロジーの発展が進めば、Uberのように会話する必要がなくなるかもしれないのです。語学力アップのための施策を打ったとしても、それは無駄な投資になるかもしれません。

 このようなビジネスモデルの変化が良いか悪いか、という話ではありません。法律の整備が……、保険が十分でなく……などと批判するより、変化は個人がコントロールができない範囲とスピードで進んでいるという事実を受け止める必要があるのではないでしょうか。

 ビジネスモデルの変化は、求める人材像や、求めるスキルセットに大きな影響をもたらします。変化への対応は必須ですが、変化が起きてから受け身に対応するだけではなく、変化を予測して戦略的に動くことも必要ではないでしょうか。つまり、人材開発に携わる人には、そうした長期的視点、戦略的視点が大切だと思うのです。