中村文子
ダイナミックヒューマンキャピタル代表取締役

 研修の目的は知識やスキルの習得ではなく、「結果を出す」ことです。結果というのは、ビジネスへの貢献を意味します。知識やスキルの習得は、その結果を出すための手段にすぎません。

 というのを大前提にいつも研修を企画・実施していますが、こんな言葉を耳にすることがあります。

「事前学習の負担が大きいと研修に参加してもらえなくなる」
「研修後に参加者に行ってもらう事後課題は参加者への負担が大きい」

 1つ目は、研修での学びを効果的かつ効率的にするために、事前課題である程度の知識のインプットはしてもらいたい、という考えで事前課題を設定しても、「負担」が大きいと研修を敬遠されてしまうという悩み。2つ目は、研修後に、学んだことを実践してもらうために課題を設定するのですが、それが参加者の負担になってしまうことに対する迷いです。

 どちらも、人材開発担当者から時々お聞きするジレンマです。一見、これはもっともな悩みで、負担を軽減するために工夫が必要かのように思う方もいらっしゃるかと思いますが、果たしてそうでしょうか? そもそも、研修(前後を含む)が「負担」であるという発想から変える必要がありませんか?

 負担を軽減するという発想は、研修がその参加者が必要としている知識やスキルの習得に直結しているという認識が低い場合に起きやすいことです。つまり、どちらかというと、選択式で参加を申し込むタイプの研修より、階層別など必須研修に起きやすい課題のようです。必須というのは、今年昇格したなどの条件にあてはまる場合、本人の意思とは関係なく、研修への参加が決まってしまうようなケースです。その場合、どうしても、やらされ感が高まってしまうため、先に述べたようなジレンマが発生しやすいのです。

 そこで以下では、このようなケースにどう対応するかを考えましょう。

 まず、階層別研修を必須研修として企画する場合、その必要性が納得できるものでないといけません。新しい職務に就くことでなぜ研修が必要なのか、何を学ぶ必要があるのかを明確にすることが必要なのです。これは大きく2つのステップで考えることにしましょう。

①役割定義など人事制度の関係をはっきりさせる

 昇格などの理由で階層別研修に参加してもらう場合、これまでの役職と新しい役職とは何が違うのかが明文化されているでしょうか。役割定義書やジョブディスクリプションなどで、明文化されている場合は、その内容に合わせて研修内容を企画します。そしてその企画意図をきちんと参加者とその上司に伝えましょう。

 「課長としての基本を学ぶ」というのでは漠然としすぎていますので、課長に期待される知識・スキル・行動がこれまでの役職とは違う点を具体的に挙げ、その知識・スキル・行動について、研修で何が学べるかを提示することで、研修で学ぶ内容を具体的にイメージしてもらいます。