課題実行のタイミングは2種類に分ける

 これまでの行動パターンを新しい行動パターンに変更するには、脳の回路に変更が必要です。そのため、「やってみよう」と意識した翌日から新しい行動パターンが定着するわけではありません。短期記憶に一時的に保存された情報は、時間の経過とともに忘れられることが多くなりますので、研修後、あまり間をあけずに復習してもらうことも大切です。この2点を考慮し、「すぐに取り組むこと」と、中長期的(1カ月〜半年程度)に取り組むことの2種類で設定するのが良いでしょう。

煩雑なプロセスを避ける

 最後に、プロセスについても配慮が必要です。プロセスが面倒だと、課題そのものが面倒に感じてしまう恐れがあるからです。課題を実行しているか、その内容や質はどうなのかなどと、主催者側がフォローアップしたいがために、レポートの提出を求めるという気持ちは分かります。ですが、一方でそれが面倒だったり、レポートを提出することが目的になってしまったりというリスクもあります。社内のIT環境などを駆使し、実践度合いや内容を把握はできるけれどもシンプルなものを工夫しましょう。成功事例を共有できることも、参加者にとっては励みや刺激になります。過去の参加者の成功事例も含め、良い事例を共有したいものです。

 以上、今回は研修参加後の実践が「負担」だと感じるジレンマについて考察しました。研修と個人や組織の成長の関連性をいかにはっきり見せることができるかが、カギを握っています。

中村 文子(なかむら・あやこ) ダイナミックヒューマンキャピタル株式会社 代表取締役
中村 文子

 大阪府出身、神戸市外国語大学 外国語学部 英米学科 卒業。マイクロソフト株式会社名古屋営業所 勤務を経て、P&Gジャパン、ヒルトン東京ベイにて人材育成・組織開発に従事。2005年より現職。2006年にASTDのカンファレンスで人材育成の世界的権威、ボブ・パイク氏のセッションに初参加、大きな衝撃を受ける。トレーナー認定のプロセスを経て、2007年秋、日本人初のトレーナーとして認定される。専門分野は、トレーナー養成、ホスピタリティ、管理職研修、ビジネスコミュニケーションスキル研修など。ホテル業界、製薬会社、電機メーカーなどの業界で、活動中。早稲田大学エクステンションセンター、日経ビジネススクール、日本能率協会にて、講師実績あり。
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