前回の記事で、アメリカでのカンファレンスに参加して実感した変化の波について、お伝えしました。今回はその変化について、もう少し具体的に検証します。

 今回考えたいキーワードは次の3つです。

ブレンディッド・ラーニング

マイクロラーニング

モバイルラーニング

 「ブレンディッド・ラーニング(Blended Learning)」とは、「集合研修とeラーニングを組み合わせ、双方のメリットを活かした研修や学習の方法。学習の動機付けやスキルの習得を集合研修で行い、知識の習得はeラーニングで実施するのが一般的である。研修の時間や経費の削減だけでなく、それぞれの手法の特徴を活かした効果的な研修が可能になる」
日本イーラーニングコンソシアムのHPより引用)

 融合学習という日本語が使われることもあります。

 効率的な知識習得のためにeラーニングが使われるのが一般的ですが、必ずしもeラーニングでなければいけないわけではありません。オンライン学習、YouTubeや動画、書籍でも代用できます。学校教育では、先生が授業で講義をするのではなく、学生が事前に学習し、授業では対面だからこそできることに集中する「反転授業」という方法も普及してきています。

 『ブレンディッド・ラーニングの衝撃』(マイケル・B・ホーン、ヘザー・ステイカー著)によると、オンライン学習の広がりは、「破壊的イノベーション」と表現されています。集合研修のように一律に学ぶわけではなく、一人ひとりが個別に、自分の目的や現状の知識レベルなどに合わせて、主体的に、かつ効率的に学ぶことができる。「オンライン学習の是非を問うことは、Eメールやディスカウントストア、税務申告ソフトの是非を問うことと同じです」(同書p.9より引用)と冒頭に記載がありますが、ブレンディッド・ラーニングにおける集合研修は、従来の「一斉に知識を付与する」というデザインではなく、集合研修だからこそ得られるメリットを追求する研修へと変化していきます。今ではすっかり定着していて、存在しなかった時代のことが思い出せないくらいのEメールも、おそらく出現した頃にはセキュリティーに対する危惧などが議論されていたこともあったでしょう。オンライン学習を取り入れたブレンディッド・ラーニングも、遅かれ早かれ、そのように過去を振り返る日がくるであろう、という見解です。

 マイクロラーニング(Micro Learning)とは学ぶ内容をより短時間(マイクロ)に細分化し、学習者がいつでもどの教材にでもアクセスできるような学び方を指します。1分~数分間程度で終わる動画やwebコンテンツを活用します。料理の1分間動画が流行っていますが、あのイメージです。移動中やちょっとした時間を利用して、調べ物をするような手軽な感覚で学べるのが魅力的です。

 モバイルラーニング(Mobile Learning)とは、パソコンではなく「モバイル」、つまりスマホやタブレットを使って学ぶ、という意味です。

 ATDの調査でもご紹介しましたが、こうした手法の変化の波は確実にやってきています。ATDの調査(2017年実施・人材開発担当者596人が回答)によると、38%の企業がすでにマイクロラーニングを取り入れていて、41%が導入を検討中ともあります。合計すると8割にもなります。

 マイクロラーニングやモバイルラーニングなどを活用し、自己学習を行ってもらい、さらに集合学習で学びを深めていく、その融合がブレンディッド・ラーニングなのです。つまり、「研修はイベントではなくプロセス」なので、集合学習だけに着目してデザインするのではなく、前後も含めて包括的にデザインする必要があります。

 モバイルラーニングやマイクロラーニングは、研修中にも活用できます。講師と参加者あるいは参加者同士のコミュニケーションにモバイルを活用したり、研修中に課題に取り組むにあたって、何かを調べたりするのにも便利です。