異例の世界へのメッセージ

 ここまでの排他的、自国至上主義的就任演説は本当に聞いたことがありません。「自身の国境を守ろうとせずに他国の国境を防衛してきた(ゆえに我々アメリカが犠牲になった)」「自国の軍隊の悲しむべき疲弊を許しておきながら、他国の軍を援助してきた(ゆえに自国の負担が莫大となった)」「米国のインフラが荒廃し、劣化する一方で、何兆ドルも海外につぎ込んできた(結果他国ばかりを裕福にしてきた)」などなど、いかにアメリカが海外の犠牲になってきたかを強調し、「アメリカ第一」を脅かすような世界のほかの国々はシャットアウトするという強硬姿勢です。世界平和はおろか、ただただ自国の利益のみを訴え続けました。演説の中でも「アメリカ」という言葉を34回も用い、ウォールストリートジャーナル紙によれば、58%の内容がナショナリスト視点のものであったと分析しています。

 アメリカ国民に対して恐怖心をあおると同時に、世界に対しても、不安と恐怖心をかき立てるようなメッセージは、大統領就任演説では考えられないメッセージ性です。

 就任したら実は変わって本領発揮するのではないか……という淡い期待を持っていた反支持者たちも、この就任演説で絶望感を感じたことでしょう。この先4年間、アメリカはどこに向かっていくのでしょうか……。

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The Success Blueprint
リップシャッツ 信元 夏代(りっぷしゃっつ・のぶもと・なつよ)

アスパイア・インテリジェンス社 代表取締役
ブレイクスルー・スピーキング代表

リップシャッツ 信元 夏代  早稲田大学商学部卒。ゼミ専攻は「異文化コミュニケーションとビジネス」。NYUにてMBA取得。1995年に渡 米後、伊藤忠インターナショナルにて鉄鋼、紙パルプ業界の営業・事業開発に携わる。その後マッキンゼーに て消費財マーケティング・事業プロセス改革などの業務に携わった後、2004年に、事業戦略コンサルティング 会社のアスパイア・インテリジェンス社を設立。
 TEDxTalk スピーカー。2013年、2014年春季トーストマスターズインターナショナルの国際スピーチコンテス トでは、日本人初の地区大会優勝2連覇を果たしている。この経験を受け、2014年9月にブレイクスルー・スピ ーキングを設立。グローバルに活躍したい日本人のためのグローバルパブリックスピーキングのE-learningプ ログラムを中心に、個人コーチングセッション、企業内研修等も行う。
BREAKTHROUGH Speaking: https://www.btspeaking.com

※筆者の会社名および役職は執筆当時のものです。