PARTSで印象を決める

 さらに、相手に強い印象を与えるための戦略的小技がいくつかあります。
・Phrase
・Anchor
・Reflection
・Technique
・Sell

【Phrase】 自分自身の強みを最大限かつユニークに伝えられる、キャッチフレーズを持っておきましょう。筆者の場合、競技ラテンダンスの選手をしていたり、大学時代にはミュージカルをやっていたりした経験から、「歌って踊れるコンサルタント」という冠をつけて自己紹介をすると、後々までよく覚えていていただけるものです!

【Anchor】 「アンカー」とは、「碇(いかり)」という意味で、つまり、伝えたいメッセージを「碇を下ろす」ごとく、相手の心に焼き付けるための戦略的小技です。アンカーにもいくつかの手法があり、ストーリーを使ってメッセージを伝える、分かりやすいたとえ話を使う、覚えやすい頭文字や略語を使ってポイントを説明する、などがあります。このような手法でメッセージを「アンカリング」することで、相手への「伝わり度合い」はぐんと高まります。

【Reflection】 聞き手が、身近で具体的な場面を想像したり、わが身のことのように感じてもらったりするための手法が、Reflectionです。例えば、「○○で困った経験はありませんか?」「御社が△△に直面していると仮定しましょう」など、聞き手の状況や経験と重ね合わせることで、相手からの「共感力」をより深く引き出すことができます。

【Technique】 聞き手が、感じたり共感したりするだけではなく、なんらかのアクションを起こしてもらうために、どんな工夫をすればよいのか、を考えます。例えば、「雇用してほしい」を目標とするならば、「推薦者のコンタクト情報を渡す」あるいは「自分の強みを最も端的に見てもらえる、プロジェクトのプレゼン資料を渡して目を通してもらう」などです。「あと一歩」を踏ませるための「行動力」を引き出す工夫がTechniqueです。

【Sell】 インタビューなどで達成したい目的は、あなたのメッセージ(例えば、私を雇用すべき!など)を「売り込む」ことです。そのためには、「私を雇用」したらあなたの会社はどう良くなるのか、相手へのベネフィットに注目したメッセージを明確に伝えることです。これをブレイクスルーでは、「結果フォーカス」と呼んでいます。つまり、「私のメッセージを取り入れたら」得られる結果、を相手の頭と心に焼き付けてあげることで、相手の「説得度合い」がぐんと高まります。

事例でなく、ストーリーを語る

 これまでの自分の経験や業績を、単なる「事例紹介」として語るのではなんら面白みもなく、また、相手の心に響くものはありません。

 重要な経験であればあるほど、そこからの学びや自己アピールをストーリーという形で伝えることがカギとなります。具体的にどんな状況だったのか、どのような苦悩があり、感情の変化があったのか、気づきのきっかけとなった人や事柄はなんだったのか、そこからどのように自分が変化し、何を学び取ったのか。ストーリーを通して、相手の心を揺さぶっていくことができれば、あなたのスピーチは大成功、といえるでしょう。

リップシャッツ 信元 夏代(りっぷしゃっつ・のぶもと・なつよ)

アスパイア・インテリジェンス社 代表取締役
ブレイクスルー・スピーキング代表

リップシャッツ 信元 夏代  早稲田大学商学部卒。ゼミ専攻は「異文化コミュニケーションとビジネス」。NYUにてMBA取得。1995年に渡 米後、伊藤忠インターナショナルにて鉄鋼、紙パルプ業界の営業・事業開発に携わる。その後マッキンゼーに て消費財マーケティング・事業プロセス改革などの業務に携わった後、2004年に、事業戦略コンサルティング 会社のアスパイア・インテリジェンス社を設立。
 TEDxTalk スピーカー。2013年、2014年春季トーストマスターズインターナショナルの国際スピーチコンテス トでは、日本人初の地区大会優勝2連覇を果たしている。この経験を受け、2014年9月にブレイクスルー・スピ ーキングを設立。グローバルに活躍したい日本人のためのグローバルパブリックスピーキングのE-learningプ ログラムを中心に、個人コーチングセッション、企業内研修等も行う。
BREAKTHROUGH Speaking: http://www.btspeaking.com

※筆者の会社名および役職は執筆当時のものです。