情報のピラミッド

 例えば仮に、「旅行業界の中堅企業A社の次期トップが、経営戦略方針を提案する」と想定し、次の情報をスピーチに盛り込みたいとしましょう。

(1)現在、地域・国ごとに、異なるデータベースのシステムを使っている。
(2)法人事業では事業ラインがいくつかあり、それぞれ別々のシステムに
  なっている。
(3)均一なサービスをグローバル展開できていないのがわが社の弱み。
(4)データベースをグローバルレベルで一元化する必要がある。
(5)投資するのは、一元化したデータベース制作、そして出来上がったデータ
  ベースにAIやVoice Recognitionなどの最新技術を付加していくこと。
(6)グローバルレベルでの統一と同時に、ローカルレベルでの裁量も必要。
(7)個人顧客事業では、地域ごとにニーズが異なる。
(8)ニーズが異なる部分ではカスタマイズが必要。
(9)現地採用も積極的に行わないと営業力が高まらない。
(10)わが社のビジョンは、ローカル旅行代理店から、
  グローバル・トラベル・ソリューション・カンパニーへと
  戦略的成長を遂げることである。

 さて、これらの情報を読み比べると、情報のレベル感や種類がそれぞれ異なるのがお分かりになるでしょうか。

 情報には、異なるレベル感があります。「情報のピラミッド」ともいえるのですが、大きく分けると、「ビジョンや戦略などを示すハイレベルな情報ピラミッドの頂点」、そしてそのハイレベルな情報と、具体的アクションのような詳細情報をつなぐのが、「根拠や理由、事実などのミッドレベル情報」、そして、「アクションプランなどの詳細や状況・事実説明を含むジェネラルレベル情報」の3層に分けられます。

 例えば上記の例では、(10)はビジョンといった、ハイレベルな情報ですが、(1)は現状把握のためのジェネラル情報です。

 また、ミッドレベルやジェネラルレベルの情報は、さらに異なる種類にも仕分けられます。上記の例では、状況に関する情報、分析に関する情報、戦略に関する情報、ビジョンに関する情報、さらにテクノロジー関連情報と人事関連情報、などに仕分けることができます。

 こうして考えると、ほとんどがデータベースなどテクノロジー関連の情報ですが、(9)だけは、人事関連情報であることが見えてきます。しかし、(4)で提案されているのは、テクノロジーに関わることですので、ここに人事関連情報をひとつだけ加えると、思いつきで情報を押し込んだように聞こえ、バランスも悪く、全体がぼやけてしまいます。

 レベル感や種類の異なる情報をすべて並列で扱ってしまうと、ポイントがぼやけてしまい、「話がよく分からない」と言われてしまうのです。